「ユリイカ(EUREKA)」(日本 2000年)

事件の被害者になってしまった人々がいる。
全てを失い心に傷を負った人々が再び歩き出す・・・。
映画レビューはネタバレしません。
B00005V28Hユリイカ(EUREKA)
青山真治 役所広司 宮崎あおい
メディアファクトリー 2002-02-22

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 「初恋」を観た時に宮崎あおいの出ている映画として
 教えていただいた映画です。
 機会あるごとに探していたのですが
 偶然GayOでの配信で観ることが出来ました。
 (GyaOの配信は先週で終了しています)

ある九州の地方都市でバスジャック事件が起こった。
生き残ったのは運転手の沢井と直樹・梢の田村兄妹だけ。
乗客が次々と犠牲になり自分たちも命の危機にさらされ、
犯人が射殺されるのを目の当たりにした3人は、
それぞれ心に大きな傷を負ってしまう。
それから2年が過ぎて消息を絶っていた沢井は、
ふたりきりで暮らす田村兄妹の元で共同生活を始める。


2000年(平成12年)5月3日に起きた西鉄バスジャック事件と
類似していたことが当時話題になった記憶があります。
そして長い作品だということは予備知識としてありました。
・・・でも長い。
GyaOの3時間37分42秒という記載に
ミスプリ!?(ネットでヘンですが)と思ったくらいの長さ。
Yahoo!の配信なら(もちろんDVDでも)chapterで
途中から見られるんですがGyaOでしか演っていなくて。

・・・はい、見ましたよ!ぶっ続けで207分!
プラスCMで・・・一体何分?_(__ ;)_バタッ!

最初に順序って大事と思ったのは松重豊氏を見た時。
一瞬『そこそこラーメン』@「亀は意外と速く泳ぐ」に
意識が飛んでしまいました(汗)。
もっとも呑気なことを言っていられないバスジャックシーン。
余計な音楽を使わず派手なカメラワークもないのに
緊張感が伝わってくる。
でもこの映画にとって事件はプロローグ。

最小限の音楽、長回しの連続に眠くなる部分もありましたし、
繰り返される場違い&不似合いなCMが
劇中の秋彦の存在と重なってしまいイライラすることも。

宮崎あおいの表情が印象的です。
冒頭のバス停で振り返って手を振る母を見つめる顔。
兄弟ふたりで買出しの途中、
警報機が鳴り響く踏み切りの途中で自転車を止め
列車が来る方を見つめる顔。
そしてバスから家を見つめる顔。

ただ私は周囲の家並みとは異彩を放つ兄弟の家に
違和感を感じて仕方ありませんでした。
そして高台から手を振って我が子を見送っていた母の姿に。
・・・あの家は母の夢だったように思います。
童話のような家にふたりのこども、理想的な家族。
それが一瞬にして崩れた。
視線は密やかに残酷に向けられ、無責任な噂が飛び交う。
現実を見据えることが出来ない母が耐えられずに
ひとり家を出て(新しい夢に向かって)行くのは道理でしょう。
事故(?)で現実から逃げ果せた父の代わりにと
遠巻きにしていた親戚たちが近寄って来る・・・保険金目当てに。
(まあ、そのお金のおかげでふたりで生活出来たわけで。
義務教育の兄妹がふたりきりで暮らすことは
日本ではほとんどありえないこと。
でもそれを言うなら沢井は父や兄に経済力があったから
家族を預けて放浪生活が送れたのですが。)

外界との関わりを『避ける』兄妹に対して、
外界との関わりから『逃げ続ける』沢井。
(沢井の妻・弓子は現実をしっかり生きている)
そして同じ痛みを持ちながらも『傍観する』秋彦。

視点を移せば色々な見方が出来る映画です。
壁をノックするシーンも心に残りますし、
兄妹の言うも文字通りの意味ではないと思います。
この3時間37分42秒という長さは
負ってしまった傷の深さ、失ったものの大きさ、
逃れられない苦しみにもがく彼らが再び歩き始める、
再生し始めるまでの時間に重なるのでしょう。
ただ人間の集中力というのは無限ではありません。
観る側としては207分42秒はやはり長すぎると思います。

旅立つ時、見送りに来たシゲちゃんに
「帰る場所ないもん。」と言った沢井。
秋彦は休みが終われば帰る家があり迎えてくれる人がいる。
沢井と兄妹とのそれが一番の違い。
その沢井が梢に「帰ろう。」と言っている。
バスに戻ろうではなく・・・。
呼びかけられたときの梢の表情・・・。

三人で旅する日々が来るのでしょうか?
秋彦(そして世の中)に対して直樹を守ると言い切った沢井。
・・・でもきっと遠くない将来、またふたりの旅になる。
もしかするとひとりぼっちで待つかもしれない。

直樹が戻ってくるまで沢井は持ち応えられるでしょうか。
彼らは3人で旅することが出来るでしょうか・・・?
4043656017ユリイカ
青山 真治
角川書店 2002-06

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コメント

 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました。
 3時間37分は、やっぱり長いですよね^^;;
 長いことの意味もわかるし、とてもよい映画だったんですが。。
 宮崎あおいちゃんのまっすぐな視線は、私も印象に残りました。

miyukichiさん、
TBとコメントありがとうございます。
青山真治作品は初めてなのですがやはり長すぎると思います。
彼らが再生に向かう時間を描き出すにしても
ムダに思えるシーンが多いのが気になりました。
Secret

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