「TOKKO -特攻- 」(アメリカ/日本 2007年)

日系アメリカ人監督と日本で生まれ育ったアメリカ人。
ふたりの女性がふたつの国の視点から『特攻』を捉えたドキュメンタリー。
TOKKO-特攻- [DVD]TOKKO-特攻- [DVD]
リサ・モリモト リンダ・ホーグランド 寺尾のぞみ
ポニーキャニオン 2008-03-19
by G-Tools



 イスラエルを舞台に自爆テロのニュースが伝わることがありますが、
 イスラエルではそれを『カミカゼ』と言うと先日読んだ本で知りました。
 テロリストとカミカゼは違うでしょう!

 でもカミカゼ・・・特攻隊のことを私はどれだけ知っているのか・・・。
 一週間限定公開の初日9月22日のシアターキノにて。

ニューヨークで生まれ育った日系二世のリサ・モリモト監督は、
亡き叔父が戦時中に特攻隊員として訓練を受け、
戦後はそれを誰にも語らなかったことを知り衝撃を受ける。
彼女は日本にいる親戚や元特攻隊員らにカメラを向け、
当時の話に耳を傾ける。


インタビューに答えた元特攻隊員の4人が4人とも
特攻隊のことは家族にも周囲にも話していないと口を揃えます。
監督の亡き叔父が何も言わず家族も聞かなかったように。

それにしても良くこれだけの映像を集めたものです。
そしてもしリサ・モリモトが金髪碧眼の女性で英語で話したなら
特攻隊の生存者はここまで話したかどうか。
実際日本人相手にならタブーのような発言も出てくるし。
でも今だから話せるのかもしれません。
今を逃すと口を噤んだまま人生を終えるかもしれません。
優しく穏やかな人だった監督の叔父のように。

この映画では日本側のインタビューには英語の、
監督のモノローグやアメリカの駆逐艦隊の生存者には
日本語の字幕がつくのですが
この日本側のインタビューが聞きづらい部分がありました。
皆さん割と早口で話される上に地名に固有名詞、そしてBGM。
肝心なところが聞き取れずに英語字幕とつき合わせるという
妙な作業をしていました。
日米の公式サイトもかなり印象が違います。
WINGS OF DEFEAT
TOKKO -特攻-

「人の命を簡単に紙くずみたいに扱われちゃって。」

知らなかったことがたくさんありました。
知らなければならないことがたくさんあります。

日本軍の快進撃・・・横須賀への修学旅行。
少年たちは海軍に魅了されていく。
敵の空母を攻撃して生還できる優秀なパイロットを殺すなんて・・・。
そう言い遺した特攻第一号の関大尉は
神国を守ったと軍神に祀り上げられる。
神風は元寇での荒れ狂う台風から若い生身の兵士に形を変えた。
四千人と言われる特攻隊員のうち三千人が少年兵。
出撃前に撮られた死相が出ているという遺影の幼さ。

「どうか無事に生き延びておくれ。
必ずこの家に帰ってきてくれ。」
息子が特攻隊員だと察しながら父が絞り出すように言った言葉。
学徒出陣で徴兵された時から戦局をシビアに見つめ、
敗戦を確信しながら特攻に向かうことを覚悟していた息子。
それまでと変って英語で話し出した上島氏の涙。
一方終始あっけらかんとちょっとおどけた口調で
インタビューに答えていた中島氏。
16歳で憧れの海軍の予科練の試験に合格した少年が見た現実。
そして藤井一中尉(特攻戦死後少佐)のご家族の悲劇。

上島氏
「死んだ連中には今も生き残って悪い気がするのは事実です。」
中島氏
「生きたかったよ。
死にたくはなかったよ。」

コメント

こんにちわ!
>もしリサ・モリモトが金髪碧眼の女性で英語で話したなら特攻隊の生存者はここまで話したかどうか。
全く同感です。今「靖国」が上映中ですが、聞いたところでは印象が鮮やかな「特攻」に対し、「靖国」はこれといった主張をしていないとのことですが・・・この映画、当地(山陰)には来ていません。もうご覧ですか?

Biancaさん、
TBとコメントをありがとうございます。
第二次世界大戦終戦から60年あまり。
この映画はドキュメンタリーであり、
また貴重なインタビュー集だと思います。
「靖国」は札幌では8月公開です。
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210.172.160.154TOKKO -特攻-(2007 アメリカ・日本) 原題   WINGS OF DEFEAT   監督   リサ・モリモト  撮影   フランシスコ・アリワラス                  音楽   松岡碧郎                (ドキュメンタリー映画)「怖くないなんてありえない。死ぬほど怖かった。こっちは生きるために戦っているのに、向こうは死ぬために突っ込んでくるだから」特別攻撃隊の攻撃を受けながらも生還したアメリカ兵はこのように語る。特別攻撃隊(特攻隊)とは

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