『テロル』

自爆テロの被害者に妻を見つけた医師は・・・。
ヤスミナ・カドラ著『テロル』
テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)
ヤスミナ・カドラ 藤本 優子
早川書房
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読書の秋でございます。
あえて知らない作家のものを選んでいるので
ハズレも多い読書の秋でございます(苦笑)。
まあ、海外の作家の場合は翻訳の相性というのもあるので・・・。

アラブ系イスラエル人の敏腕外科医のアーミンは
テルアビブで妻のシヘムと幸福な生活をおくっていた。
レストランでの自爆テロの被害者を治療にあたったアーミンは
警察からの電話で自宅から病院に呼び戻される。
19人の被害者の中に変わり果てたシヘムがいた。
しかも遺体の損傷からして犯人は彼女だと。


著者のヤスミナ・カドラは元アルジェリア軍の将校。
軍の検閲を逃れるため妻の名をペンネームで執筆していたそうで
2001年にフランスに亡命したそうです。

色々と事情はあれイスラエルに帰化したアーミン。
宗教や民族問題と距離を置いて
自分や妻との時間を大切にする西欧的なライフスタイルの彼には
私のようにパレスチナ問題がわからない人間でも身近に感じますし、
だからこそ・・・シヘムの行為に戸惑ってしまいます。

それにしてもこのやり切れなさの悪循環は・・・。
アイルランド紛争の当事者はアイルランドとイギリスの二国間。
こちらはアメリカの存在があるイスラエル対アラブ諸国。
イスラエル社会での立場が一変するアーミンに対して
変らぬ態度で接してくれる友人たちの存在。
テロの被害に怯えて恐怖と憎しみを抱く人々と
イスラム原理主義に傾倒せざるを得ない立場になっていく人々。
みんな普通の人たちなのに。

テロは『否』です、言うまでもなく。
でも行き場のないファテムの想いは
感覚的にわかる(ような)気はします。
イスラエル国内でテロ事件を次々に起こすハマスが
パレスチナ自治評議会選挙で勝利したのは
パレスチナ自治区で学校や病院を建てたり貧しい人を助けたりという
活動からだけではないのですね。
でもテロはテロでしかない。
・・・私にはシヘムに寄り添って想像力を働かせようとしても
彼女の気持ちはわかりませんでした。
私がこの問題を知らな過ぎるからでしょうが、
たくさんの子どもたちが・・・。
まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)
山井 教雄
講談社
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