『11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-』

"胎児は人にあらず"という法の壁。
でも"人"と認めると別の問題が浮かび上がる。
2006年の第13回小学館ノンフィクション大賞・優秀作受賞作品
江花優子著『11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-』
4093965048.jpg11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-
江花 優子
小学館 2007-06-29
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2007年7月22日付の北海道新聞の書評の著者のインタビューで
興味がわいた本です。

2003年12月、
札幌市で若い夫婦が乗った車に対向してきたワゴン車が衝突。
同乗していた妊娠8ヶ月の妻が負傷、
帝王切開で生まれた女児は11時間後に亡くなった。
2005年11月、
札幌地裁は胎児を妻の身体の一部とし加害男性に
業務上過失致傷の罪で禁固二年、執行猶予四年の判決を下した。


変な話ですよね。
赤ちゃんには出生届(と死亡届)が出されていました。
・・・彼女には戸籍があるんです。
事故が起きた時に妻の胎内にいた胎児は
日本の法律では人と認めていないので
業務上過失致死罪では立件出来ないなんて。
取り上げたお医者様が新生児として出生したと証明しているのに
未熟児・・・今は低出生体重児と呼ぶそうですが
1000グラム以下で生まれてももちろん戸籍もあるし
"人"として扱われているのに妊娠8ヶ月だった彼女は・・・。
出産の日を心待ちにしていたのに事故でお腹の子を失った悲しみと、
その子が法律に"人"として扱われない怒りと苦しみと理不尽さ。

人はどこから人になるのか・・・。
法律、宗教観に日本人の子どもに対する意識、
そこで浮かび上がる問題が人工妊娠中絶。
自責の念にかられて心療内科のドアを叩く人がいる反面、
命をリセットするように3回目の処置を受ける中学生がいる、
・・・日本の現実。

読み進むうちに私に子どもがいないからかもしれませんが
この本の論点からはズレることを思っていました。
2006年浜松で事故後に帝王切開で生まれた男児が死亡した裁判では
業務上過失致死傷罪が言い渡されているんです。
法律に不備があるのは確かですし
世論の流れというのもあるのでしょう。
でも変な表現ですが検事や判事の当たり外れがあるのではないかと。
検事や判事の法律の解釈次第で被害者の痛みを少し・・・、
亡くした命に代えられるものなどありませんが、
でも少しだけでも救うことが出来る。

1年間で1600人以上の胎児が交通事故が原因で
流産や早産しているという統計があるそうです。
被害者のお母さんの言葉は響きました。
「産もうとすればそれは"人"になるんじゃないかと思うんです。」

『お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか』

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