「風の前奏曲」(タイ 2004年)

タイの伝統的な楽器ラナートの伝説の奏者ソーン。
"音楽"を愛し奏でることに生涯を捧げた姿を描いた物語。
風の前奏曲風の前奏曲
サントラ
SEMA RECORDS 2005-10-25
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 札幌ではシアターキノでの上映だったと思います。
 ようやくDVDで観た人生初のタイ映画。

1930年代、戦時下のタイで1人の老人、
国民的尊敬を集めるタイの伝統楽器"ラナート"の奏者のソーンが
息を引き取ろうとしていた。
19世紀末、音楽一家に生まれたソーンは
成長と共に腕を上げ地元で一番のラナート奏者になるが、
バンコクで巨匠クンインの圧倒的な演奏を目の当たりにし、
強い敗北感を抱えてしまう。
傷心のソーンは故郷で新しい奏法を見い出して復活し
バンコクの宮廷楽団へと迎えられ、
再びクンインと対峙することになる。

       
見始めてから気がついたことなんですが(←遅い!)、
私はタイに対して"仏教国"と"象 ⊂^j^⊃ "くらいのイメージしか
持ち合わせていなかったんですね、
無知もここまでくると情けないを通り越して笑ってしまうのですが、
子どもの髪型が面白い!とか"目上の人へのお辞儀の仕方"とか
とにかく珍しいのが先(。-)

ある意味主役のタイ式木琴のラナート。
メロディラインは沖縄民謡やガムラン音楽に近い感じで、
ラナートの音色もなんだかとても懐かしくて心地いい。
何度も演奏シーンが出てくるんですが
競演会という相手との勝負の場でさえもその音色は優雅で美しい。
邦題の"風の"という二文字がしっくり来る瞬間でした。
でも英タイトルの『OVERTURE』は『序曲』。   
邦題の『前奏曲』・・・『PRELUDE』ではないんですよねヾ(¬。¬)

青年時代のソーン役のアヌチット・サパンポンは
シャムの王子役で「春の雪」に出た方だそうですが
全く私好みの顔立ちではない方。
そのせいではないのですが私は若きソーンよりも
晩年(私の好みはともかく俳優の存在感が凄い!)の物語に
より惹かれてしまいました。
音楽家としての円熟期を迎えたソーンに訪れた不幸な時代。
時の権力は"欧米に比べてタイの文化は遅れている"と
自国の文化や伝統を弾圧し始める・・・近代化の名のもとに。

自分の若い頃のように思う存分ラナートに打ち込むことも許されず、
翼を折られた絶望から自ら旅立ってしまった弟子を
言葉もなく見送るソーン。

伝統文化の理不尽な弾圧と新しい文化に惹かれる若者たち。
日本で学んだソーンの息子が持ち込んだピアノと
即興でジャズをセッションするソーンと
その父にホッとしたようなでも表情を輝かせる息子。
クンインに託された"ラナートを受け継ぐ者の使命"と同時に、
新しいものを受け入れるスタンスをソーンは持ち合わせている。
でもタイ伝統の合掌礼のソーンに西洋式の握手を求める大佐。

頑なな態度を崩さない政治や権力との深い溝。

軍人たちが去った後にソーンはラナートを奏でる。
目上の人を敬うタイで失礼極まり態度を取っていた軍人たちが
禁じられているラナートの演奏にいきり立つ中、
その音色に集まってくる住人たち。
聴き入る人々の表情は穏やかでそして何より誇らしげ。
ラナートの音色とともに静かな感動に胸を打たれました。

「木はしっかり根を張っていれば嵐にも耐えられる。
根を大切にしなければどうやって生き残るのですか?」
風の前奏曲風の前奏曲
アヌチット・サパンポン アドゥン・ドゥンヤラット アラティー・タンマハープラーン
アミューズソフトエンタテインメント 2006-09-22
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The OvertureThe Overture
Anuchit Sapanpong, Adul Dulyarat, Pongpat Wachirabunjong, Narongrit Tosa-nga, Ittisoontorn Vichailak
Kino Video 2006-03-07
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春の雪春の雪
妻夫木聡 竹内結子 高岡蒼佑
東宝 2006-04-28
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