「ユゴ 大統領有故」(韓国 2006年)

1979.10.26韓国ソウル。
独裁者が呆気なく凶弾に倒れた日。
ユゴユゴ
ハン・ソッキュ, ペク・ユンシク, チョ・ウンジ, キム・ユナ, イム・サンス
エスピーオー 2008-06-04
by G-Tools



 韓国国内でパク・チョンヒ大統領の暗殺事件は
 『10.26大統領殺害事件事件』と呼ばれタブー視されているそうです。
 パク・チョンヒの遺族から映画の公開差し止めを求める訴訟が起こされ、
 結果一部黒塗りの状態で上映されたことで話題になりました。
 日本では黒塗りなしのノーカット版での公開。

1961年クーデターで大統領の座を勝ち取ったパク大統領は
独裁的な圧政の一方で酒と女に明け暮れている。
韓国中央情報部(KCIA)のキム中央情報部長の右腕・チュ課長は、
大統領の女性関係の尻ぬぐいに追われる日々にうんざりしている。
そんな中大統領と側近3人が顔を揃える晩餐会が開かれることになり
現状に危機感と憂いを募らせているキム部長はある決意を・・・。


もっとブラックだと思っていましたが意外とシリアス。
喜劇のようですが待っていたのは悲劇。

まず驚いたのが複数の登場人物が日本語を操ること。
もっとも彼らは日本統治下の朝鮮半島に育った世代ですから
日本語が流暢なのも道理。
パク・チョンヒは日本の陸軍士官学校に留学したそうですし。

ドキュメンタリータッチであり、
それぞれモデルになった人物がいて⇒ユゴ〜大統領有故〜公式サイト
でもエピソードなどはあくまでもフィクション。

口では民主主義のためと言いながらも
中央情報部(KCIA)のキム部長にとっては
警護室との権力闘争の方が大きかったようにしか見えなくて。
特にチャ大統領警護室長に対しての意趣返しにしか見えないし。
暗殺成功後は陸軍の制服組を抑えればと・・・。
キム部長の楽観的な目論見は病気のために頭が回らないせいでしょうか。

大統領の警護主任の親友を助けようとしながら
結局自らの手で命を奪ってしまったチュ課長。
このあたりからハン・ソッキュの上手さが目立ってきました。
暗殺後周囲の状況が判らず指示もなく途方に暮れるあたりは、
ミン大佐共々中間管理職の悲哀も感じるし。

黒塗りにされたのはラストのクレジットの流れるシーン。
パク・チョンヒの葬儀の記録映像だそうですが、
一瞬"北"のニュース映像かと呆気にとられました。
30年ほど前の隣国の歴史を知る手助けにはなる映画です。

「なあ、一緒に生きよう。」
The President's Last BangThe President's Last Bang
Jae-ho Song, Suk-kyu Han, Yun-shik Baek, Won-jung Jeong, Sang-soo Im
Kino Video 2006-04-04
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コメント

sannkenekoさん、こんにちは〜
記事は揚げてませんが、私も8月にDVDで観たばかりです。
ハン・ソッキュは本当に上手かったですね。
まだあまりにも生々しい史実でしょうから、映画化には勇気が必要だったでしょうが、訴訟にまでなったとは知りませんでした。
『大統領の理髪師』と重なる部分があったので、その分想像しやすかったです。
>途方に暮れるあたりは、ミン大佐共々中間管理職の悲哀も感じる
映画はここに視点を置いていましたね。
事情を知らずに巻き込まれた人々が多かったことにショックを受けました。

fizz♪さん、
『大統領の理髪師』が1960年代、
『殺人の追憶』が1980年代後半ですからちょうどその間の出来事。
光州事件がこの翌年ですね。
>まだあまりにも生々しい史実でしょうから、
韓国の受け止め方は当然日本とは温度差があるでしょうから、
裁判のニュースを聞いたときにも驚くことはなかったのですが、
公式サイトを見ると関係者たちにとっては未だに
過去の事件ではないようです。
まあ映画はあくまでフィクションなのですが・・・。

ハン・ソッキュが、ニャにやらひそひそ話をしているけど、
これって謀略もの?
「うん、そうだね。
韓国で長年にわたって独裁政権に君臨した朴正煕大統領が暗殺された
歴史的な一日を描いたものなんだ。
この事件は、大統領ファミリーの一人、
中央情報部長(KCIA長官)キム・ジェギュ(ペク・ユンシク)が
晩餐を楽しむ大統領(ソン・ジェホ)を殺害したわけだけど、
ハン・ソッキュの役はその部下のチュ課長役」
----ということは、耳打ちされているのがキム部長。
「そうだね。
この映画、完全に史実かというと
そうは言い切れない。
というのも、事件を起こした関係者の供述も
悪名高きKCIAの拷問によって引き出されているわけだから、
それをすべて真実と捉えるのは早計にすぎる」

ということは、
この映画の観るポイントとしては
監督が事件を、あるいは朴正煕をどう捉えたか…ということになるね。
「おっ、分かってきたじゃない。
そのため、ここではある意味の誇張もなされている。
たとえば晩餐の席が四方から階段を上った場所。
これは出席者の関係だけでなく
視覚的にもオモシロい効果を上げている。
また、当日大統領は二人の女性を宴席に呼んでいるんだけど、
その一人に『北の宿から』など日本の演歌を歌わせている」
----あれっ。その頃、
確か韓国では日本の歌は禁じられていたんだよね。
「うん。ただ、そのモデルとなった歌手の持ち歌に日本の曲が多かったこと、
また生前の大統領が演歌が好きだったこと、
さらには彼自身、戦時中は日本の陸軍士官学校に進んだことなども
その背景にあるようだ。
それとこの映画は日本語がやたらと多く使用されている、
これは日本と韓国の不幸な過去の象徴とも言えるだろうね」

肝心の暗殺シーンはどうだったの?
「喩えは悪いけど、
『忠臣蔵』の松の廊下を思い出したね。
というのも、前から実行を考えてはいたとはいえ、
あまりにも突発的に起こる。
同席のチャ大統領警護室長(チャ・ジチョル)の
傲慢な態度が腹に据えかねたんだね。
キム部長が腹心の部下たちに知らせるのもその日、その場所で。
ボスの命令は絶対という感じで、
それを上から聞かされ、
おのおの覚悟を決める過程がなかなかオモシロかったね。
大統領フ
Secret

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