『一応の推定』

老人の死は事故だったのか?
それとも難病の孫娘のための覚悟の上のことだったのか?
広川純著『一応の推定』
一応の推定一応の推定
広川 純
文藝春秋 2006-06
by G-Tools



 WOWOWのドラマになるということで読んでみました。
 第13回松本清張賞受賞作。

JR駅のホームから転落した男性・原田勇治は
通過しようとした快速電車に轢かれ死亡した。
死の三ヶ月前に加入していた傷害保険の支払いを巡り、
保険会社から調査を依頼されたベテラン調査員・村越努は
調査を開始する。


"生命保険金の受け取りを巡って云々"はミステリーの定番。
この物語の原田勇治の場合の警察の見解は
『ホームの縁に近寄りすぎて誤って転落して、
そこへ電車がやって来て轢死したとしても、
仮に自殺だったとしても犯罪ではない』。
でも保険金を払う側には天と地くらいの差があるわけで、
これを調べるのが本書の主人公・村越努。

保険会社所属の若手社員・竹内が
始めに自殺(の疑い)ありきで推理・推測するのに対して、
保険調査事務所の村越はひたすら真実のみを追って行く。
保険業界の裏側と思惑、子どもの臓器移植、
銀行の貸しはがしと原田が抱えているのは現代社会の矛盾。
ひとりの人間、家族、そして取引先や目撃者の事情や背景など、
ここまで調べ切れてしまうのか・・・と
ちょっと怖さを感じる部分もありました。

ただ原田が亡くなった現場の駅構内の位置関係がイメージし辛く、
イラストや見取り図的なものが欲しかったところです。
その部分を今回のドラマが補う形になるのでしょうが。

ハッピーエンドと言い切ることは出来ないのですが、
でも温かい余韻が残りました。

「だけど原田さんの行動の軌跡の中で、
たった一つだけ理屈で説明できても、
心で考えると納得できないことがある。
心で計算すると、間尺の合わない答えが一つだけあるんです。」
一応の推定 (文春文庫)一応の推定 (文春文庫)
広川 純
文藝春秋 2009-06-10
by G-Tools

コメント

こんにちは。
TBありがとうございます♪
残念ながら、楽天ブログは過去の記事にTBをつけるのが、
とっても大変なので、こちらからは失礼させてください。
これ、ドラマになるんですね〜。
たしかに小説よりもドラマ向きかもしれません。
ハートフルな物語ですからね。

かつきさん、
コメントありがとうございます。
>残念ながら、楽天ブログは過去の記事にTBをつけるのが、
とっても大変なので
ブログのシステムによってはそういうこともあるんですね。
>これ、ドラマになるんですね〜。
どちらかと言えば地味なこの小説をセレクトした
WOWOWのセンスに驚かされますね。

こんばんは〜!
WOWOW、年末に見られなくなったんですよ。
見たかったです。録画していたのに録れていませんでした。
とっても残念です。
心に温かさの残るいい小説でしたね。

kazuさん、
いつもお世話になっております。
あら、残念でしたね。
まあ、我が家はWOWOW見られないのですがぁ(^_^;
>心に温かさの残るいい小説でしたね。
本当に。
最後にホッとさせられました。
ところでこの記事を上げた時にもTBを飛ばしたのですが、
何故か反映しないんですよね・・・何故かしら。
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一応の推定 (広川 純)

210.165.9.64轢死した老人は事故死か、 それとも心臓に難病のある孫娘のための 保険金目当に自ら命を絶ったのか?定年間近の保険調査員・村越が、 調査の結果見えてきた真実。  典型的な状況が立証されればそれで足りる(一応の推定)が成立するかに思えたが…  傷害保険は自死なら支払われない。第13回松本清張賞受賞。この松本清張という言葉には弱いです。 読んでみようかなという気にさせてくれます。 まず読みやすい、一気に読めます。 モノトーンあるいはセピアカラーの際立った色彩のない背景描写。作品の中に出てく
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