『造花の蜜』

造花の蜜が呼び寄せるものは・・・。
呼び寄せられるものは・・・。
連城三紀彦著『造花の蜜』
造花の蜜造花の蜜
連城 三紀彦
角川春樹事務所
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 直木賞受賞作の「恋文」は読んだ(記憶がある)のですが、
 ・・・それ以来の連城作品。

息子が蜂に刺されて救急車で運ばれたと
幼稚園から連絡を受けた小川香奈子は
父の工場の従業員の川田と搬送先の病院に向かった。
二月末に蜂が・・・と車中で不審に思った香奈子は
途中で幼稚園へと行き先を変えるが
息子・圭太はすでに誘拐された後だった。
ところが幼稚園の玄関前で圭太の担任の高橋は
香奈子に驚くべきことを口にする。


『嘘つきな蜂』『赤い身代金』『血の交差点』『蜂ミツと蜜バチ』
『女王の犯罪』『罪な造花』そして『最後で最大の事件』と
七章からなる485ページの長編。
被害者家族であり圭太の両親でありながら、
何かを隠し歯切れが悪い香奈子と元夫の山路将彦。
香奈子の父も孫よりも倒産しかけの印刷工場が大切という風だし、
登場人物たちの誰にも感情移入出来ない。
そこに唐突に事件は終わり、
置いてきぼりになった気分だったのですが、
後半で視点が変わると一気に面白くなりました。

奇妙な誘拐事件の別の・・・本当の顔。
"愛人への仕返し"と"良き母親の顔"と"未練"。
"亡くなった母の思い出"と"サングラスの女"。

誰が加害者なのか。
誰が共犯者なのか。
そして本当の被害者は誰なのか

造花と蜂とフィギュア・・・。
張り巡らせた伏線のほとんどはブラフだったのですが、
二転三転どころではない予想外の展開にとにかく驚きました。
・・・まあ、橋場警部はちっとも有能とは思えませんでしたし、
2000CCの血液の謎もほったらかしなのですが。

最終章はエピローグ的な位置付けですが、
『最後で最大の事件』と銘打つほどではありません。
・・・ただ女王蜂のために働き続ける働き蜂は増えていく。
続編を期待出来るのかもしれません。

「香奈子さんはあの電話に匂いを嗅ぎとったことない?・・・女の匂い」

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