『ゼロの焦点』

失踪した夫には新妻の知らない別の顔と生活があった。
松本清張著『ゼロの焦点』
ゼロの焦点 (新潮文庫)ゼロの焦点 (新潮文庫)
松本 清張
新潮社
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 映画のDVDを見て原作を読み返しました。

板根禎子は広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚した。
信州から木曾を巡る新婚旅行を終えた10日後、
憲一は仕事の引継ぎをしてくると言って金沢へ旅立つ。
予定を過ぎても帰京しない夫を心配する禎子のもとに
勤務先から憲一が北陸で行方不明になったと連絡が入る。
金沢へ向かった禎子は憲一の後任の本多の協力を得、
憲一の行方を追うが・・・


映画レビューにも書いたのですが
ヒロインの禎子は受身。
金沢行きも憲一の会社から誘われたからでのこと、
間違っても自分からは行動しない。
まあ、当時の女性はそういうものだったのでしょうけれど。

改めて読み返すと佐知子と久子、そして禎子と義姉。
米軍占領下と高度成長期に入った日本。
二つの時代の女性の生き方が対比されているのですね。
ただ、今回読み返しても憲一と宗太郎に不快感がありました。
結局(この兄弟だけではなく)世の中が米軍相手の女性を
明らかに見下していたということ。
憲一が曽根益三郎と名乗ったのも
情が移っていた久子をあっさりと捨てることが出来たのも、
弟の失踪の原因を別れ話がこじれたからと考えた宗太郎も、
所詮久子は・・・と思っていたでしょう。
犯行の動機は過去を知る憲一への恐怖とともに、
その世間に対する怒りかもしれないと思いました。

それにしても禎子という女性は
平和で豊かになろうとする時代の理想の女性像だったのでしょうか。
憲一といい本多といい・・・。
ゼロの焦点(2枚組) [DVD]ゼロの焦点(2枚組) [DVD]
広末涼子 中谷美紀 木村多江
東宝
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