『がん患者、お金との闘い』

命をとるか、生活をとるか。
二者択一を迫られるがん患者たち。
札幌テレビ放送取材班『がん患者、お金との闘い』
がん患者、お金との闘いがん患者、お金との闘い
札幌テレビ放送取材班
岩波書店
by G-Tools

札幌テレビ制作、日本テレビ系列で放送されたドキュメンタリー、
「命の値段 がん患者、闘いの家計簿」に
新規取材を加えて再構成した本です。
札幌テレビ・勝嶌早苗ディレクターが取材ドキュメントを
同じく佐々木律プロデューサーが医療に関する事例を担当。

働き盛りで大腸がんを患った看護師。
保険に加入しており貯金もあった彼女だったが、
がん治療によって経済的困難に直面する。
離婚して生活保護を受けるか、
治療を断念するかという決断まで迫られた彼女は、
病身で患者会を結成し自治体や国へ訴えていく。


国民皆保険が原則のわが国では
医療費(病気やケガでかかる診察費や治療費)は
医療費の3割を一部負担金として患者自身が支払っています。
ところが公的な制度である高額療養費制度を利用すれば
負担を軽減出来るのです。
大きな病気や怪我で手術が必要な時など、
病院などの窓口で支払う医療費を一定額以下に抑える制度。
例えば70才未満ならあらかじめ治療を受ける前に
事前に手続きをすれば窓口の支払いが自己負担限度額までとなります。
加入している健康保険で制度の名前が違ったりしますし、
細かい規定や条件など色々あるので
病院で医事課や医療ソーシャルワーカーのいる医療相談室などに
相談することをオススメします。
(ですから入院一日1万円はともかく
治療費が増えると保証もリンクとか・・・というのは
どうなのかしら?と。
掛け捨てでなければ当然保険料が高いわけですから、
この病気に注意・・・という家系や体質でなければ
いくら低金利でも貯蓄に回した方が・・・)。

この程度の予備知識はあったのですが、
この制度が外来(通院)でも使えるということを
この本で初めて知りました。
ただ・・・入院と同じではないのですね。
外来通院時の高額療養費制度の利用は、
患者は窓口で外来の診療費の自己負担分(=3割)を一旦支払って、
後日、改めて自己負担限度額が差し引かれた分の支給(還付)を
健康保険から受けるという方法のみ。
言い方を変えればそれまで自分で立て替えなければならないのです。
還付されるまでのタイムラグをどうしのいでいくか。
その間も通院は続き治療費は払っていくわけですから。

この本の主人公でもある金子明美さんにしても
夫婦で貯めていたマイホーム資金を取り崩して治療費に充てていました。
別の言い方をすれば貯金がなければ、
ただその日が来るのを待つしかなかった・・・。
患者は文字通りお金との戦いになってしまうのですね。

そして頼りのがん保険。
がん保険を扱う生保19社のうち、通院治療に払うのは7社。
主契約に組み込まれているのはたったの3社。
実はかなりお寒いようなのです。
もっとも保険会社からすると日々進歩するがんの通院治療、
その将来のおけるリスクを読みきれない。
長く続く通院保障を手厚くすると当然保険料は高くなる・・・。

障害年金ががん患者にも適用されることを
申請先である社会保険事務所が知らないとか、
海外では標準的に使用されているスタンダードな治療が、
厚生労働省の承認が下りない(審査に時間がかかる)ために
保険診療では使用できないとか下手なホラーより怖い現実があります。

発見が送れ放射線治療や手術が不可能ながんに
抗がん剤での化学療法を行うことで
がんの進行を遅らせ余命を何年も延ばしている患者は
たくさんおられるそうです。
そして抗がん剤治療が可能な人が治療する場合としない場合では
予後は4倍違う・・・4倍生存できる。
それなのに金銭的な負担のために治療を断念しなければならない、
子どもの入学を見たい、生まれてくる孫の顔を見たい、
・・・これはわがままですか?

"がん"とひとくくりにできないのでしょうけれど、
早期胃がんを経験した北海道の高橋はるみ知事に
そのあたりが伝わらなかったというのが、
ちょっと残念ではありました。

tag : がん患者、お金との闘い ドキュメンタリー

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