『乱紋』

織田信長の姪。
淀君の妹。
徳川二代将軍・秀忠の正室。
三代将軍・家光の生母。
永井路子著『乱紋』
乱紋〈上〉 (文春文庫)乱紋〈上〉 (文春文庫)
永井路子
文藝春秋 2010-08-04
by G-Tools



「江〜姫たちの戦国」レビューお世話になっているくうさんが
お勧めされていたので読んでみました。

茶々、初、おごう。
小谷城で父・浅井長政、本能寺の変で伯父・織田信長を喪い、
北ノ庄城で母・お市の方を亡くした三姉妹は
羽柴秀吉の庇護の下で安土城に暮らしている。
天正十三年の新春。
秀吉が輿入れの話を持ってくる。
末娘・十四のおごうに。


『乱紋』の中心人物は浅井三姉妹の三女・おごう。
おごうに仕える侍女おちかの目線で描かれています。

美しい切れ長の目に小さく整った鼻すじ、
引き締った口許。
何よりその美しさを自覚している長女・茶々は
気性が激しくプライドが高い。
見栄えのする顔立ちで
大ぶりの牡丹の花のような華やかさを持つ次女・初は
嫌らしいほど身勝手で計算高い。
しかも表面上では仲が良いふたりは対抗心むき出し。
そしてごうはと言えばおちかさえもどかしく思う動作が遅く、
容姿は"浅黒い肌、ちんまりした鼻、分厚い唇、
眠たげなまぶたに蔽われて印象のはっきりしない瞳"と
気の毒以上に情け容赦ない描写。
姉妹の慈しみや思いやりはこの小説では皆無。
おごう付きのおちかがおごうに辛く当たるふたりを
快く思わないのは解るにせよ、
良くもここまで辛らつに・・・正直辟易しました。

如何せんおちかとちくぜんの話が多すぎると思いますが、
小説としては面白かったです。
おごうは元々が口数が極端に少ないので、
何を考えているのか間近にいるおちかにさえ解りにくい。
まして妹の器量を見下す姉ふたりは、
ひたすらイライラし馬鹿にする。
徳川憎し以上におごうへの敵対心を燃やす淀君。

その中でおごうは自分に与えられた役割を
政略結婚をそのまま受け入れていく。
戦国時代の姫は輿入れする際、
実家から財産が贈与・・・いわば持参金付き。
この持参金はあくまで妻のものだったので
夫も勝手に手を付けることは許されなかったそうですから、
婚家でもある程度の発言力はあったはずですが、
おごうは自分の意思をこうとは表さない。
不思議なほど感情を表さないおごうを
運命は御台所に引き上げていく。

秀忠に嫁ぐ時、おごうと引き離された娘・おきいは
名を完子と改め茶々の元から九条家に嫁ぐのですが、
その前の母娘の静かな再会は心に残りました。

―どういう運命が与えられるのか、来るものはうけてみよう。
乱紋〈下〉 (文春文庫)乱紋〈下〉 (文春文庫)
永井路子
文藝春秋 2010-08-04
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