『ゴールデンスランバー』

首相暗殺犯に仕立てられた青年は逃亡を続けていく。
伊坂幸太郎著『ゴールデンスランバー』
ゴールデンスランバー (新潮文庫)ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 2010-11-26
by G-Tools



堺雅人主演「ゴールデンスランバー」の原作です。
映画は2010年2月スクリーンで観ています。

首相公選制で新首相となった金田首相の凱旋パレードが
盛大に行われていた仙台市で
青柳雅春は数年ぶりに旧友の森田森吾と再会した。
その森田の様子がおかしいことを青柳が訝しむと
森田は信じられないことを告げる。
そして突然飛来してきたラジコンヘリの爆発によって、
金田首相は暗殺されてしまう。
その翌日、警察は容疑者を青柳雅春と発表する。


まずは思ったよりも原作が長かったこと^^;
事件から20年後にまだ残る謎(疑惑)のまとめ。
この時点で名前が出てくる人物の役割はわかるのだけれど、
でもこのワンクッションの後の事件本編を読むと、
20年後の検証が必ずしも合っていないあたりは面白い。
もっとも青柳をはじめ事件に巻き込まれた人にとっては
そんな悠長な事態ではないのだけれど。

当然ながら映画の尺にあわせて脚色されているので、
"どちら様?"という人物が出てくるのは仕方が無いところ。
映画の中では一般的な監視カメラの映像が、
"セキュリティポッド"なるものになっていますし、
かつて青柳が助けたアイドル・凛香のその後も・・・。

青柳を犯人として仕立て上げていく権力。
躊躇うことなく銃を向ける警察。
報道がイメージを作り上げ群集心理を煽っていく。
・・・このあたりは先日読んだ「魔王」と重なるように感じます。

花火の美しさに「Golden Slumber」のメロディはやっぱり映画。
小鳩沢はもう永島敏明しかイメージできないけれど(汗)、
でもとにかく逃げるしかない青柳を
何とかして助けたいという想いから
出来るだけのことをする元恋人や友人たちの姿は
文字の方がジンと来る。

補欠が繰り上がる形で首相暗殺犯になってしまった青柳。
この繰り上がりで森田や何人もの人生が狂ってしまった。
ラストはとりあえずは良かった・・・とは思うのだけれど、
でも理不尽な・・・。

「おまえは逃げるしかねぇってことだ。
いいか、青柳、逃げろよ。
無様な姿をさらしてもいいから、
とにかく逃げて生きろ。
人間、生きててなんぼだ。」
ゴールデンスランバー [DVD]ゴールデンスランバー [DVD]
堺雅人 竹内結子
アミューズソフトエンタテインメント 2010-08-06
by G-Tools

コメント

こんばんは。
そうか、映画が先だと、セキュリティポッドに驚いてしまいますね。
同級生たちの人物造形や会話など、文字のほうが直接胸に響いてくる感じ。
でも、この凄い内容の作品を、巧く映像化してくれてありがとう、という気持ちで映画を観てました。
報道や群集心理が『魔王』から繋がるように、過去の作品がまるでこの作品のための伏線のように、
あちこちで繋がってくるものばかりなので、つい伊坂作品を未読の方には
「刊行順に読んだほうがこの作品をより楽しめる」と言ってしまうのです。
とか言いつつ、『マリア・ビートル』忙しさにかまけて半年間積読です(^^ゞ

こんにちはー
前半は逃げている間中読んでいて苦しかったです。この苦しさは映画よりも原作の方がずーっと強かったような・・
でもとても巧く映像化になっていましたね。
TBが不調のようです、すいません。

悠雅さん、
>そうか、映画が先だと、セキュリティポッドに驚いてしまいますね。
そうなんです。
何せはじめに映画のイメージありきなもので、
面食らった部分も多かったのですが、
良くこれを脚色出来たものだと感心してしまいました。
>同級生たちの人物造形や会話など、文字のほうが直接胸に響いてくる感じ。
文字からビートルズのメロディは聞こえないけれど、
でも行間からそれぞれの想いが伝わってきました。
"20年後"に問題の"事件"、そしてエピローグで終わらない"最終章"と
構成も凄かったです。
とりあえず(?と言うか)
『グラスホッパー』と『マリア・ビートル』は読みましたので
レビューを書き上げた際にはまた伺わせて頂きますm(_ _)m

hitoさん、
>前半は逃げている間中読んでいて苦しかったです。
>この苦しさは映画よりも原作の方がずーっと強かったような・・
映画がシーンが切り替わるせいか、
苦しさよりもハラハラ感の方が強かったように思います。
でも映画は見事な出来でしたね。
TB・・・どうしたんでしょうねぇ。
時間帯なのかしら・・・。
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『ゴールデンスランバー』/伊坂幸太郎 ○

133.205.94.9・・・結構、消化不良なんですけど。いや、伊坂さんらしい、時系列の絡み合った緻密な、ある意味登場人物たちに都合がいいぐらいキッチリ組み立てられたストーリーで、読んでいて爽快なのですが。明快な結末が用意されてなかったことが、ちょっと残念。でも、私の希望する「何故?の解明」まで書こうとすると、もう1冊は必要で上下巻になりそうです(笑)。しかも、作品傾向が全然違った物に・・・。2008年本屋大賞受賞作です??!伊坂さん、おめでとうございます??♪

【ゴールデンスランバー】 伊坂幸太郎 著

210.172.182.80謀略…   まずは来訪記念にどうかひとつ! [:next:] 人気blogランキング【あらすじ】冴えわたる伏線、印象深い会話、時間を操る構成力……すべての要素が最強の、伊坂小説の集大成!!仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることは

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203.131.194.84 俺は犯人じゃない伊坂幸太郎 著 新潮社
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