『クラインの壺』

ポケットの中のピアス。
財布に入れた名刺。
ニセモノの現実。
岡嶋二人著 『クラインの壺』
クラインの壷 (講談社文庫)クラインの壷 (講談社文庫)
岡嶋 二人
講談社
by G-Tools

岡嶋二人は井上泉(井上夢人)と徳山諄一の共同筆名ですが、
コンビは1989年に解消されています。
本作の大部分は井上の手に依るものだそうで。

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけで
上杉彰彦は『K2』と呼ばれる
ヴァーチャルリアリティ・システムの制作に関わることになった。
アルバイト雑誌を見てやって来た少女・高石梨紗とともに、
謎めいた研究所で仮想現実の世界を体験する。
ゲームのチェックを続け毎回が新鮮な驚きであり、
全てが順調だと思っていた・・・五日目までは。


それなりに重要なツールとして留守番電話が登場します。
"時代"を感じさせるのはそれくらい。
あっ、ゲームブックという言い方は今ないですよね。
それにしてもここまで"もう一つの現実"を扱った作品、
CG全盛の今こそ映像向きじゃないでしょうか。

本編より先に出てくるのがイプシロン・プロジェクトと交わした著作権使用契約書。
主人公上杉にとって"現実の拠りどころ"の証明となるもの。
そして上杉の今・・・。

自分の原作がゲームとして実用化され、
それをプレーヤーとして体感していく喜びと小さな疑問が積み重なっての不安、
そして梨紗の失踪と真壁七美の出現。
梨紗の行方を追う上杉の現実は揺らいでいく。

SFのジャンルの小説なのですがサスペンスとしてもホラーとしても一級品。
現実と仮想・・・曖昧になっていく世界。
クラインの壷の内か外か・・・。

「はじめのところから始めて、終わりにきたらやめればいい。」
「戻れ。コントロールできるうちに、逃げろ。」

tag : クラインの壺 岡嶋二人

コメント

ドラマの方でちらっと本のタイトルを見て、こちらにはじめて飛んできました。
突然でごめんなさい。
この作品、すごくおもしろいですよね。
ほんと一級品です。
読んだ後、こんな作品が書けるのかと感動しました。
岡嶋二人さんは解散し、井上夢人さんが活動されているのは知っているのですが、最初の数作以来、最近は作品を出版されていない気がします。
残念です。
頭がグラグラする作品に出会いたい!(笑)
これからはこちらもお邪魔させていただきます♪

とわさん、
いらっしゃいませ〜o(^▽^)o
かなり前に書かれた作品ですが、
それでも面白いものは面白いし怖いものは怖い。
やっぱり一級品ですね。
>頭がグラグラする作品に出会いたい!(笑)
活字離れとか言われていますけれど、
お互い素敵な作品に出会いたいですね。
Secret

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

フリーエリア