『マドンナ・ヴェルデ』

お腹の子の母親は誰ですか?
お腹の子にとって私は何者ですか?
海堂尊著『マドンナ・ヴェルデ』
マドンナ・ヴェルデマドンナ・ヴェルデ
海堂 尊
新潮社
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 今日からのNHKドラマ放送を前に読みました。
 ヴェルデ[verde]はイタリア語で[緑]の意味。

山咲みどりは桜宮市のマンションで暮らしている。
夫は若くして亡くなりひとり娘の理恵は学生結婚し、
今では東京の帝華大学に産科医として勤めており、
娘婿の曾根崎伸一郎は若くして単身で渡米、
今はマサチューセッツ工科大学のゲーム理論の教授。
ある日、突然帰省してきた理恵はみどりに
先天的な異常が見つかったために
子宮を摘出しなければならなくなったと打ち明ける。
そして母に自分の子供を代わりに産んで欲しいと頼んでくる。
突然の依頼に驚き、また何となく腑に落ちないところもあったが、
みどりは断ることができなかった。
理恵の手による体外受精でみどりはふたりの子供を宿すが・・・。


産婦人科医療の問題を描いた『ジーン・ワルツ』を
曾根崎理恵の母で娘の代理出産をした山咲みどりから見た物語です。

不妊治療の第一人者であっても
人間として最低としか思えないのが
『ジーン・ワルツ』のヒロイン・曾根崎理恵。
母に代理出産を持ち掛けるにしても、
受け入れることが当然と言わんばかり。
みどりが了承してからはじめて、
代理母が日本では認められていないことを告げ、
全てを事務的、機械的に進めていく。
しかも理恵がみどりに移植した受精卵3つのうち、
ひとつの父親は夫・伸一郎ではない・・・。
これでみどりに不信感が生まれないわけがない。

マリアクリニックの院長・三枝茉莉亜の前で
ようやく明らかになった理恵の狙い。
結局わが子を産む母も生まれてくる子供たちも
理恵にとっては"道具"でしかなかった。
産婦人科医としての信念はともかく、
人として大切なものが欠けている理恵。

でも海堂作品の女性は共感出来ないキャラクターばかり。
真っ当な考え方だと思っていたみどりでさえ、
あの時、茉莉亜を引っ叩くのだったと言う有様。
・・・この母にしてこの娘ありなのかしら。
まあ、それを言うなら手紙の内容が相当に複雑でややこしくなっても
最後まで献立に拘る伸一郎も同類。

妊婦の背景が青井ユミ以外は触れられていないので
『ジーンワルツ』を読んでいないと消化不良になるかもしれません。
念願の我が子を手に入れた理恵。
一人の母親となった彼女は荒木浩子の件をどう思うのでしょうか・・・。

アタシハ、タダ、コドモタチガ幸セデアレバソレデイイノニ。
ジーン・ワルツ (新潮文庫)ジーン・ワルツ (新潮文庫)
海堂 尊
新潮社 2010-06-29
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『マドンナ・ヴェルデ』/海堂尊 ○

133.205.94.7あの【バチスタ・スキャンダル】から約3年・・・。東城大学のある桜宮市ではなく東京の片隅で、クール・ウィッチ(冷徹な魔女)魔女と呼ばれた曽根崎理恵が産科医療に一石を投じた、『ジーン・ワルツ』の別の側面の物語である。何を考えているのかよくわからなかった代理母・山咲さんの、代理母を引き受けてから出産を終えるまでの心情及び遭遇する出来事が、丹念に描かれていく。海堂尊さんの物語は、ホントあちこちで繋がってるんですが、『マドンナ・ヴェルデ』は特に、『ジーン・ワルツ』や『医学のたまご』と直接..

マドンナ・ヴェルデ/海堂尊

208.71.105.241えっと・・・これは、「医学のたまご」の主人公かおるクンとその妹がいかにこの世に存在するに至ったかという話、そして「ジーン・ワルツ」と同じ時間・同じ舞台を、異なる立場のもうひとりの女性の視点からたどった物語、ということになります。

『マドンナ・ヴェルデ』 海堂尊

180.235.97.45また海堂作品が溜まってきてしまいました。気合を入れて一気に読むか!・・・まあ、無理だろうけど。それはさておきこの作品、これまでとはちょっと趣が違います。というのも実はこの『マドンナ・ヴェルデ』は、『ジーン・ワルツ』のアナザー・ストーリー。「クール・ウィッチ」曾根崎理恵の実母で”代理母”となる山咲みどりの視点で同じストーリーを描き、相互補完しているのです。勿論主人公が変われば色々なものが変わります。”北”で起きた医療事故やマリア・クリニックの因縁話は前面には出ず、その代わりに理恵の

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