【浮標】

白い砂。
病身の妻。
万葉集。
三好十郎作「浮標(ぶい)」
アクチュール・ステージ (キネ旬ムック)アクチュール・ステージ (キネ旬ムック)
《Interviews & Talks「浮標」大森南朋×田中哲司》

キネマ旬報社 2011-01-21
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1940年初演の三好十郎の戯曲を長塚圭史が演出した舞台は
長塚の新プロジェクト「葛河思潮社(くずかわしちょうしゃ)」の
第1弾公演。
元々はNHK「芸術劇場」での放送予定だったそうです。
4月30日NHK教育テレビにて。

才能のある洋画家・九我五郎は
結核に倒れた妻・美緒の看病に献身的にあたっている。
しかし介護のため借金は嵩み、画壇とは対立してしまう五郎。
戦地へ赴く小説家の親友が五郎を訪ねてきた数日後、
美緒の病状は急激に悪化していき・・・。


今回の震災で3月に予定されていたNHKの放送は延期になり、
また「芸術劇場」の枠自体も廃止になりました。
その為なのかどうかは存じませんが、
二度の休憩を挟んで4時間少々の作品のはずが、
演出・長塚圭史のトークの後に2時間50分弱の中継録画に。
・・・1時間カットしているわけですね。

舞台の中央に陣取るのは黒い木枠のプールのような大きな砂場。
その両脇には椅子が並び、出番を待つ出演者が座っている。
五郎の妻・美緒の教え子たちが訪ねてくるシーンで、
子役が出てくる気配がない・・・と思っていたら、
この脇に控えている俳優が声を合わせて台詞を重ねながら、
教え子たちを演じていました。。
その言葉に病身の美緒が身体を起こしながら
うんうんと頷き微笑み涙ぐむ。
・・・死の床についている割に美緒役の藤谷美紀の頬が
ふっくらしていたのはご愛嬌かしら。

五郎と美緒や他の登場人物との会話で進むこの戯曲で
描かれるのは"生きる"ということ。
五郎は自分の信念を曲げず、周囲に迎合することもない。
でも戦争の影が忍び寄ってくる。
病身の美緒にはその時が迫ってくる。
やりきれなさに怒りを爆発させ、苦しみそれでも・・・。
美緒の枕元で詠み上げる万葉集とその解説は
美緒への愛にあふれ、
また"生きていく"という五郎の意志そのものでした。
実際五郎役の田中哲司の台詞は尋常じゃない量、
当然ほとんど喋り(叫び)っぱなし。
激しい"動"から一転、
ラストの・・・カーテンコール直前の放心した表情が印象的でした。

「俺たちは万葉人の子孫なんだ。」
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