『細川ガラシャ夫人』

明智光秀の娘として。
細川忠興の妻として。
キリシタンとして。
三浦綾子著『細川ガラシャ夫人』
細川ガラシャ夫人〈上巻〉 (新潮文庫)細川ガラシャ夫人〈上巻〉 (新潮文庫)
三浦 綾子
新潮社
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昨年の大河ドラマ放映時に読んでいたのですが、
先日放送の「世紀のワイドショー!ザ・今夜はヒストリー」を見て、
読み直しました。

明智光秀の三女・玉子は、。
隣国・丹後の細川忠興の許に嫁ぐため、
まだ開けやらぬうちに坂本城を出る。
一泊するために立ち寄った公家・清原頼賢の邸で、
玉子は清原家の息女・佳代に出会う。
侍女に佳代も加えた一行は長岡を目指し、
16歳の玉子は細川家の人となった。
公家風の細川家に馴染みはじめ、
玉子が三人目の子を宿したころ、
父・光秀が織田信長を討つために挙兵する。


とにかく美しかったらしい玉子。
本人も十二分に自覚しておられる分、
(多分にやっかみもありますが)それがかなり鼻につく。
むしろ父・光秀と母・煕子(本書での"ひろ"は変換できないので
ウィキペディアの表記に倣います)の放浪時代のエピソードなど、
人物像が語られている箇所の方が共感出来ました。

信長の命令での縁組は政略結婚でありながらも、
嫁ぎ先は明智と交流があった細川家。
ふたりの子に恵まれ・・・本能寺の変。
光秀は小栗栖の藪で土民の手に掛かって呆気なく亡くなった。
煕子は坂本城で玉子の弟ふたりと自害、
玉子の長姉・倫も坂本城で夫や母と運命を共にする。
織田信澄に嫁いでいた次姉・菊は織田方の手にかかる。
明智の家に戻されれば母たちと同じ運命を辿るはずの玉子は
離縁という形で丹後半島山中の味土野に幽閉され出産。
二年後、ようやく秀吉に許されて大阪の細川家屋敷に戻ると、
夫・忠興には既に側室がいた。

清原佳代との出会いと高山右近への尊敬や(恋に近い)思慕。
史実は存じませんがキリスト教は案外玉子の近くにあった。
『こんてむつすむん地』のラテン語に目を輝かせる玉子と
そんな玉子に驚き誇りにさえ思う佳代。
ただ佳代といい洗礼後の玉子といい、
人格が立派過ぎて親近感が持てない。
・・・もっとも、小説の根底には筆者の信仰があるわけですが。

それにしても細川忠興の玉子への執着心は異常なほど。
美しい玉子を手放したくない一心からの隔離・幽閉。
玉子を人前に晒したくないから"家から出るな"。
本能寺の変はもちろんですが、
忠興の欲(悋気)に玉子の人生が翻弄されたように思えます。
外に逃げることも出来ない。
キリシタンは自ら命を絶つことは許されない・・・。
玉子と玉子と運命を共にした家臣たちの壮絶な最期、
そして玉子を慕い見守り続けた初之助の一途さがまた哀れでした。

「殿は出陣のみぎり、この家より一歩も出てはならぬと仰せられました。
殿には殿のお立場があっての、この重きご一言、
わたくしは妻として、命をかけて守らねばなりませぬ。」
細川ガラシャ夫人〈下巻〉 (新潮文庫)細川ガラシャ夫人〈下巻〉 (新潮文庫)
三浦 綾子
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松岡 洸司
ゆまに書房
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コメント

TBありがとうございました。
sannkenekoさんの記事で忘れかけていた内容を細かな部分まで思い出しました。
玉子の生き様は、本当に壮絶でしたね。

こにさん、
いつもお世話になっております。
そしてコメントをありがとうございますm(_ _)m
>玉子の生き様は、本当に壮絶でしたね。
一夜にして謀反人の娘になってしまった玉子。
こればかりは玉子自身にはどうしようも出来ないですし。
何ともやりきれないですね。
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