『北緯43度の雪』

1972年2月。
札幌で開催されたアジアで初めての冬季オリンピックに
台湾から8人のスキー選手が出場した。
河野啓著『北緯43度の雪」
北緯43度の雪  もうひとつの中国とオリンピック北緯43度の雪 もうひとつの中国とオリンピック
河野 啓
小学館
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 著者・河野 啓 (こうの・さとし)は北海道放送勤務。
 現役のテレビマンがこれをどうして映像化しないのかしら?と
 読みながら思っていたのですが
 やはりと言うか過去に「報道特集」で放送されていました。
 この『五輪と政治/"チャイニーズ・タイペイ"の理由は?』
 本編に関して詳しく書かれているので、
 あらすじなど少々手を加えました。
 第18回小学館ノンフィクション大賞受賞作。

2005年。
北海道放送でドラマ制作に関わる筆者は
札幌オリンピックの競技別種目の一覧表に
「ROC」という見慣れない国名を見つける。
スキーのアルペン競技の回転、大回転、クロスカントリーに
「Republic Of Cchina」・・・「中華民国」の名があり、
三種目とも最下位を含め下位を独占していた。
政治の思惑で札幌オリンピックに出場した台湾初のスキー選手たちは
翌年に控えた北京オリンピックをどんな風に受け止めているのか、
筆者は当時の選手たちに話を聞く。


カナダのカルガリーオリンピックでの
ジャマイカのボブスレーチームの奮闘ぶりを描いた「クール・ランニング」。
あんなノリだと思って読み始めたのですが、
思った以上に政治色の強いノンフィクションでした。

札幌オリンピックはリアルタイムで見ているはずですが、
思い出すのはスキージャンプ70メートル級の日の丸飛行隊、
そしてフィギュアースケートのジャネット・リンくらい。
案外"札幌オリンピックの軌跡"とか、"オリンピックを振り返る"とか、
そういう番組で見た記憶ではないかと思います。
とは言え台湾の選手が出場していたなんて初耳。
・・・もっとも台湾より南も南、
ぬゎんとフィリピンの選手もいたそうですが(苦笑)。

これだけ台湾からの観光客が増えた現在でも
日本と台湾は国交を断絶しているなんて、
不思議な感じもします。
インタビューに登場する元選手は
日本生まれの華僑に外省人と出身も現在の立場も様々。
でもそれぞれが政治や国際情勢に翻弄されている。
第一、札幌オリンピックの彼らの奮闘は、
文字通り世界に向けてのデモンストレーションであり、
台湾では放送されなかったらしい。
一方、中国では卓球の国家チームの選手たちが
文革の犠牲となり悲劇の死を遂げている。
その三年後、中国はアメリカと「ピンポン外交」を繰り広げていく。
スポーツは政治は無関係ではいられない・・・らしい。
好むと好まざるとにかかわらず。

「台湾の国連脱退と中国の文化大革命は、共に歴史の空白です。
国家というものは時には受け入れがたいほど残酷になり、
時にはひどく滑稽な選択をします。
時計の針は元には戻せませんから、
歴史に何かを学ばなければならないのでしょう。
  −中略ー
ただ、人間が、指導者と呼ばれる人たちも含めて、弱く愚かな存在で、
自分たちが熱烈に信じて突き進んでいる道が
本当に正しいものとは限らない、と戒めながら生きていきたい。」
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