『緩やかな反転』

殺された私を見つめる私がいる。
鏡に映っているのは私を殺した女。
新津きよみ著『緩やかな反転』
緩やかな反転 (角川文庫)緩やかな反転 (角川文庫)
新津きよみ
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ビール会社勤務の高木亜紀子は利き酒師の資格を持つ。
取材を受けた雑誌の発売を楽しみにしている亜紀子は、
引っ越してきた吉田と名乗る女性の訪問を受ける。
マンション内を訪れるのにトートバックを持つ彼女に、
違和感を感じた亜紀子と女の視線が玄関の壁の鏡でぶつかり、
・・・亜紀子の記憶は途切れた。

次に気付いた時、亜紀子は床に倒れた亜紀子を見下ろしていた。
そして鏡に映る亜紀子の姿は吉田に。
ところが吉田のバックにあった運転免許証の名前は野田光代。
亜紀子より一回り年上の43才だった。
加害者としても被害者としても行き場を失った亜紀子は
野田光代の家に向かう。


自分を殺した女と身体が入れ替わってしまった亜紀子。
現在の姿である野田光代に面識もなく、
なぜ殺されなければならなかったのか判らない。
自分の身体ではないと実感するのがトイレというのが妙に生々しい。

そして野田家に行った途端、亜紀子はいきなり二児の母に。
幸いというか小学1年の子は亜紀子を受け入れてくれる。
夫は単身赴任中。
中学2年の萌子はの変化に驚き戸惑いながらも、
存外好意的。

PTAってあんな調子なんでしょうかねぇ。
専業主婦と仕事を持つ主婦。
その仕事もフルタイムかパートかでまた妙な溝がある。
現役の亜紀子の啖呵が爽快(笑)。

いくら野田光代のフリをしてもでも他人は他人。
いつボロが出るか、正体が・・・と思いきや、
亜紀子はあっさり元の身体に。
そう、亜紀子は殺されていなかっった。
というかその前提が・・・どんどん崩れてくる。
でも亜紀子の中の野田光代としての5日間は残っている。
そして・・・。

萌子の父親が誰かは光代の記憶を待つまでもなく想像通り。
亜紀子と光代の接点から物語は亜紀子の自分探しへ。
光代の人生をなぞった(書き換えた)ことで、
亜紀子の人生も変わってしまったということなのですが、
・・・何かスッキリしない読後感。
でも「トライアングル」より映像向きではないかしら。

ところでお土産で登場した五家宝(ごかほう)。
全く知らなかったので調べてみました。
案の定というかお目にかかったことないです、ハイ(苦笑)。

自分が本当に望んでいるものが何かが。
いままでとは違う人生を歩むことを少しも恐れる必要はないのだ、ということが。
五家宝五家宝
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トライアングル (角川文庫)トライアングル (角川文庫)
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