『無菌病棟より愛をこめて』

急性骨髄性白血病。
5年後生存率、35%。
加納朋子著『無菌病棟より愛をこめて』
無菌病棟より愛をこめて無菌病棟より愛をこめて
加納 朋子
文藝春秋
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ドラマ「てるてるあした」の原作者、加納朋子さんの新作は
彼女自身の闘病記。
そういえば加納さんの作品をちゃんと読んだことがないわぁ・・・。

かかりつけのクリニックからの紹介状で
近隣の大学病院血液内科へ言った筆者。
翌朝一番に骨髄検査をと言われ胸騒ぎを覚え、
入院に必要になるものを買い込み旅行バックに詰めた。
そして運命の6月17日、
筆者は急性骨髄性白血病の告知を受け、そのまま入院、
闘病生活に入る。


『めざましテレビ』前キャスターの大塚範一さんが、
急性リンパ性白血病を公表した時は驚きました。
がんは不治の病ではなくなった、白血病も然り。
ただ急性骨髄性白血病の5年後生存率は
(現在はもう少しあがっているかもしれませんが)35%。
後で思えばゴールデンウィークの口内炎と発熱、
しつこい咳も白血病の前兆だったわけですが、
口内炎でそんな重病を疑う人はいないし。

自宅での安静を言い渡されても食料の買出しにスーパーへ。
入院前にこそこそと掃除機をかけたり、流しをこすったり。
このあたりは女性は無条件でわかる部分。

カテーテルの管と心電図と点滴のチューブだらけの生活。
点滴と薬、食事、看護師さんとの会話、そして副作用と、
ポジティブシンキングでなければ乗り切れないと言うように、
"良かった探し"やユーモラスな言い回しで
笑ってしまう箇所も多いのだけれど、
大学病院での化学療法の日々は過酷の一言。
骨髄移植後はさらに拍車がかかる。

ところで加納さんの姉妹弟さんたちが
大学病院の担当医に不信感を抱いていた話があって。
まあ、ボタンの掛け違いのようなことなんですが、
ただいくら身内でも先生の言葉を100伝えていいのかどうか、
100伝えられるのか、正確に伝わるのかということもあるし。
身内だからと大勢で先生を質問攻め?・・・とも思うし。
私は"病名はこれ、治療法は・・・"と言われての大学病院受診であり、
結局診断どおりで現在大学病院で経過観察中の身です。
それでも実際に診断されるまでは不安でしたし、平常心でいられない。
そして先生に質問するには患者は(変な言い方ですが)、
病気や治療の体験・経験のような感覚も必要。
ある程度は予習しないと何を言われているのかが理解できないし、
何を質問すればいいのかさえ判らない。
医者には多くの患者の中のひとり、多くの病気の中のひとつでも、
患者の側はそうではありませんから。

文字通り生死の境を彷徨い、骨髄移植51日目の12月18日退院。
でも入院中に(体調を見ながらとはいえ)、
あれだけ運動していた加納さんが(加納さんすら)、
帰宅後は思うように動けない。

ペットボトルの水しか飲めない無菌室の描写と、
311の後にペットボトルの水が店頭から消えたこと。
読み進めるまで全くが結びつきませんでした。
何より移植患者にとっては命綱の免疫抑制剤も手に入り辛くなる。
高齢者、幼児、そして病人は災害の前では弱者。

ご主人や息子さん、入院中に家事全般を引き受けてくれたお義母さん、
お見舞いに通い洗濯ものを引き受け、差し入れを続けた加納家の人々、
骨髄ドナーになった弟さん。
抗がん剤の副作用で髪が抜けた加納さんのために、
手作りの帽子をいくつも贈ったご友人etc.
そして担当医や看護師他病院スタッフ、
病気と闘うのは患者だけではないと改めて思い知らされます。
医療も日進月歩、新しい治療法も薬も開発されています。
数年後には口腔ケアも当たり前のように行われているかもしれません。
現在も闘病中の加納さん、どうぞお大事になさって下さいね。

「考えれば考えるほど、今、私が死んでしまうことは、
身近な人たちにとってとても良くないことだと思う。
子どもはもちろんのこと、旦那さんがかわいそうである。
だからなるべく死なないようにがんばろうと思う。」
「けっこう生きてるし、どっこい生きてる。人間ってすごい。
いや、もちろん、病院と、先生と、看護師さんたちと、
それから輸血のための献血をして下さった、
名前も知らないどなたかのおかげなのだけれど。」
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49.129.4.228著者の白血病闘病記。
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