「のぼうの城」

500人対2万人。
『浮き城』と『利に転ばぬ者』。
ズレてる方がいいズレてる方がいい
エレファントカシマシ
ユニバーサル シグマ
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休日に偶然見た「映画「のぼうの城」ナビ」なる番組。
内容はともかくとして前列中央に座る野村萬斎と佐藤浩市。
揃って腕を組んで長い足を組んだ2トップは
見惚れてしまうほど素敵だったのです。
原作未読。
ユナイテッドシネマにて。

周囲を湖に囲まれ、浮城とも呼ばれる忍城(おしじょう)。
城主・成田氏長の従弟の長親は何を考えているか分からず、
領民たちから"のぼう様"と呼ばれ慕われていた。
天正18年(1590年)。
天下統一目前の豊臣秀吉は関東最大の勢力・北条氏の小田原城を
落城させんとしていた。
豊臣側に抵抗するべく北条氏政は、
関東各地の支城の城主に篭城に参加するよう通達。
氏長は長親や正木丹波守利英、柴崎和泉守、酒巻靭負(ゆきえ)に
豊臣側に降伏を内通することを告げ小田原城へ向かう。
秀吉は石田三成に武功を立てさせようと
既に降伏を伝えてきた忍城攻略軍の総大将に任命、
何も知らされていない三成は総勢2万の大軍を率い開城を迫る。
忍城に残る500の軍勢で太刀打ちできるわけもなく、
氏長の娘・甲斐姫や重臣らは開城するものと思っていたが、
軍使・長束正家の傲慢な振る舞いに怒った長親は戦を宣言。
重臣たちは混乱するが覚悟を決め、かくて忍城戦は幕を開けた。


合戦シーンを苫東(北海道苫小牧市東部地域)で撮影していることは、
何度か新聞等で紹介されていたのですが、
ところがいざ映画のCMが始まると"のぼう"のアクセントが違う。
・・・"でくのぼう"の"のぼう"だったのねぇ。

成田長親の実話を基にしているそうですが、
「ぴったんこカンカン」で忍城が埼玉県行田市にあると知ってビックリ。
映画を観終えてから色々ググると、
冒頭の秀吉の備中国高松(現岡山市北区)の高松城の水攻め。
この時に本能寺の変が起こると、秀吉は毛利輝元と講和、
京都に軍を返した。
秀吉が後に"中国大返し"と呼ばれる離れ業をやってのけたのは
この時だったんですね。
ただ史実を基にしているとはいえ当然脚色されているわけでして、
実際は堤決壊と開城までの間に浅野長政、真田昌幸らが加わり、
再度の力攻めを試みたとか、
映画では留守番部隊の甲斐姫も城門を突破されそうになった時には、
鎧兜姿で出陣したとか、
甲斐姫が秀吉の側室になったのは忍城を去ってからすぐではないetc.。

そういう史実は史実としておよそ戦国時代の武士らしくない"のぼう様"。
百姓たちの中に混じり楽しそうに手を叩き、
赤子をあやし時には麦踏みの真似事(手伝いにはなっていない^^;)。
このシーンだけでも成田長親という存在は
十分にもう浮き上がっているのです。
"イヤなものはイヤなのじゃ!"と言って丹波にこずかれ、
でも戦いことが決まったときの晴やかなちょっと得意気な表情。
勝ち目のない戦に駆り出されることに迷惑顔だった百姓たちが、
戦うと言い出したのが長親と知るや笑い出し、
"のぼう様じゃあ助けてやらにゃしょうがねえ"と城に参じる。
とはいうものに戦いを前に不安げな百姓たちの顔を見て
"戦になってゴメン!"と泣く。
士気が下がると丹波に言われてもそれでも泣く"のぼう様"に
百姓たちが見かねて気勢を上げている。

あっさり城を明け渡すはずだった"のぼう様"を戦に駆り立てたのは
軍使として忍城に現れた長束正家の横暴さ。
そして城から脱出した母子が殺され舟で流れ着く。
武将としての誇りと人としての怒り。
2万の敵に対しての成田長親の戦い方。
舞ながら歌いながらおどけながら敵を引きつけながら、
その目は鋭く三成の陣を見つめている。
そして・・・。

これぞエンターテイメントという感じでした。
野村萬斎、佐藤浩市の2トップはもちろんのこと、
夏八木勲、前田吟、平岳大の存在が効いている。
百姓たちは当然日焼けした顔にメークされているので、
あら、尾野真千子だった、あら、芦田愛菜だったと驚き、
中尾明慶に至ってはエンディングクレジットでようやくわかる有様。
(前田吟はひと目で判ったんですが^^;)

ただ三成役・・・いえ、この映画に限らず三成は敵役。
三成治下の佐和山藩は凶作時に年貢を免訴したりと、
民には優しい城主だったそうですが、
(このあたりがラストの"お片づけシーン"につながっていく)、
でも忍城側の演じ手と比べると気の毒なくらい力量差がありすぎる。
キャスティングの重要さを再認識してしまいました。

「腹は決め手おらなんだが今決めた。戦いまする。」
「坂東武者の槍の味。存分に味わわれよ。」
のぼうの城 上 (小学館文庫)のぼうの城 上 (小学館文庫)
和田 竜
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のぼうの城 下 (小学館文庫)のぼうの城 下 (小学館文庫)
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コメント

こんばんは。
おや、史実ではこんなところに真田昌幸さんが登場するのですか。(真田ファンなので。)私はそんなところまでは調べなかったので、勉強になります! ありがとうございます。
私は原作を読んでいるのですが、本を読んでから映画を見ると、そのギャップにがっかりすることも多いのですが、今作については、ますます面白く感じました。なんといってもキャストもいいですもんね。いい作品でした。

たんぽぽさん、
それでなくとも歴史に疎いのにこの話は全く知らず、
見終えてからググりまくりました^^;
原作をご存知なのですね。
>本を読んでから映画を見ると、そのギャップにがっかりすることも多いのですが、
キャスティングにがっかりして見る気も失せてしまうこと、ありますものね。
野村萬斎、佐藤浩市の2トップはもちろんですが、
個人的には平岳大がツボでした。
もし真田昌幸も描かれたとしたら、
どなたが演じられるのでしょうね。

>これぞエンターテイメントという感じでした。
邦画にしては、かなり頑張っていましたよね。
迫力ある合戦シーンにVFXも見応えがありました♪
三成を演じた上地さんは…
ちょっと微妙でした。
段々と良くなっていったような気もしますが、
それでも野村さんや佐藤さんたちと比べると、劣りますね。

BROOKさん、
合戦シーンは予想以上の迫力でした。
VFXは映画の公開が遅れた理由がわかりますね。
ただ間接的にでも311の被害を目撃してしまうと、
どうしても作り物感がぬぐえないのは仕方がないのかもしれませんね。
>三成を演じた上地さんは…
ちょっと微妙でした。
原作での三成の描かれ方は存じませんし、
新しい三成像にしたかったのかもしれませんが、
敵方の総大将にしてはあまりに薄っぺら。
他の人をキャスティングしてほしかったです。
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