【ふるあめりかに袖はぬらさじ】

幕末。
横浜の遊廓。
時世の句。
ふるあめりかに袖はぬらさじ (中公文庫)ふるあめりかに袖はぬらさじ (中公文庫)
有吉 佐和子
中央公論新社
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2012年に赤坂のACTシアターで上演された舞台の録画放送。
主演・坂東玉三郎は舞台美術や照明、衣裳も監修しているそうです。
2013年1月3日、NHK・Eテレにて。

幕末。
開港間もない横浜。
遊廓・岩亀楼(がんきろう)に芸者・お園が
病で床に付いていた花魁の亀遊(きゆう)を見舞いにやってくる。
吉原で亀遊と顔馴染みだったお園は
亀遊が店の通辞の藤吉と恋仲であることに気付き、
藤吉の励ましと蘭方の薬で亀遊の病は癒える。
ある日、薬屋・大種屋がアメリカ人・イルウスを伴って現れる。
唐人口と呼ばれる外国人専門の遊女が呼ばれるが、
見栄えのしない遊女ばかりでイルウスは外国人への差別だと憤慨、
そして、大種屋に宛がわれた亀遊が気に入り、
自分の相手にと熱望する。
藤吉はイルウスの言葉を通訳しなければならず苦悶し、
亀遊はショックのために倒れてしまう。
結局、六百両でイルウスが亀遊を買い取ることが決まり、
お園が呼びに行って自害した亀遊を発見する。
お園と籐吉が亀遊を偲んでいると、
亀遊が攘夷女郎として瓦版に華々しく登場。
『露をだに厭う大和の女郎花、ふるあめりかに袖はぬらさじ』と
辞世の句を残したという話まででっちあげられてしまう。
しかしお園は亀遊が読み書きができないことを知っており・・・。


有吉佐和子原作、坂東玉三郎主演。
番組欄の情報しか知らずに観たのですが、
玉三郎演じるお園はあの妖艶な玉三郎のイメージからは相当違い、
最初はかなり面食らいました。
一方で亀遊の病床での触れると壊れそうな脆さ、儚さ、
花魁姿の美しさ、艶やかさ、そして哀れさ。

遊女である以上、病が癒えれば座敷に出なければならない。
その姿を想い人の藤吉に見られてしまった衝撃。
しかもよりにもよってアメリカ人・イルウスに見初められてしまった。
遊女の自分に逃げ道はない。

いつの間にか亀遊は『攘夷女郎』になっていく。
噂のひとり歩きに翻弄され、或いは面白がり、
或いは利用しようとする人々。
粋でおしゃべりで可愛らしくて愛嬌もサービス精神もあるお園から、
半端でない量の台詞が口調も間も絶妙に語られる。
坂東玉三郎はコメディエンヌでもあったのですねぇ。

そして何より所作という以前、
立ち上がっただけ、座っただけでも美しい、指の先まで美しい。
坂東玉三郎という存在は別格なのだと改めて感じました。

ところで初演は1972年でお園役は杉村春子。
・・・観てみたいですねぇ。

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