『淋しい狩人』

本の表紙の落書き。
荒物屋の幽霊。
宮部みゆき著『淋しい狩人』
淋しい狩人 (新潮文庫)淋しい狩人 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社
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これも随分前に読んだ宮部作品ですが、
久しぶりに読むと受ける印象が変わるというか、
違うことが気になってしまうものですね。

東京の下町・田辺町の古本屋「田辺書店」。
親友が遺した「田辺書店」の雇われ店主・イワさんこと岩永幸吉を、
イワさん曰く"たったひとりの不出来な孫"・岩永稔が
学校の傍ら手伝っている。
六月のある日、大手の都市銀行に勤める佐々木鞠子が
田辺書店に現れる。
イワさんと稔は以前、変な男に尾けられ助けた女性だと知るが、
彼女はお礼を言うためだけに訪ねて来たのではなかった。


1991年6月から1993年6月号まで
「小説新潮」に断続的に掲載された短編をまとめたもの。
『六月は名ばかりの月』『黙って逝った』『詫びない年月』
『うそつき喇叭』『歪んだ鏡』『寂しい狩人』の六編です。

以前、親戚から本が送られて来たことがありました。
パラパラとめくりましたがどう見ても我が家の誰の好みでもなく、
かと言って送り返すのもなんだし、捨てるわけにもいかず・・・。
ひたすら困惑していると読んで感動したから送ったのに、
お礼の電話がないとご立腹と聞き・・・いよいよ当惑しました。
(ちなみにその本は今はありません・・・いつの間にやら)。
奥様が宗教団体の本をシャッター前に置く気持ち、判ります(=_=;
ただ(表紙に落書きの有無に関わらず)本の引き出物。
貰う側も迷惑だろうなぁ・・・と。

『うそつき喇叭』は『小暮写眞館』の"かもめ"ヴァージョン。
『ふたりのイーダ』は読み手のこちらがある程度の年齢になって
作者が訴えたいことが判った。
『うそつき喇叭』の作者も皮肉&痛烈なメッセージを
大人に向けて書いたのでしょう。
ただ小学生の男の子がたくさんの、それもボロボロの本の中から
この本を見つけたことはもう奇跡に近いけれど。
それにしても暴力をふるわれ、妹に危害が・・・と脅され・・・。
豊君が真っ直ぐに成長してくれればいいなぁと。

読みやすくまたイワさんと稔のやり取りも微笑ましいのですが、
内容は意外と悲しく、淋しくまたシビア。
何より案外現実に起こりそうな話も多くて・・・。

今回読み返して気になったのが『東京下町殺人暮色』でも
バックボーンにあった東京大空襲の話。
授業などでその悲劇を学んだ世代は防空壕からの遺体発見に、
すぐに"三月十日"と結び付ける。
一方、ある世代から下は面白半分な興味を持つ。
これは語り継いでいかなければいけないのだろうなと思ったのです。
哀しいことや辛いことは思い出したくないけれど、
次の世代に伝えていかなければならないのでしょう。
それが戦争であっても東日本大震災であっても・・・。

「悩みましたね。人の命の大切さを考えろって言ってみても、
抽象論では空しいだけだ。
そんなとき、柿崎のご隠居さんの事件が起こったんです。」
小暮写眞館 (書き下ろし100冊)小暮写眞館 (書き下ろし100冊)
宮部 みゆき
講談社
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