『ソロモンの偽証』

終業式の朝。
中学校の屋上から転落死した生徒が見つかった。
宮部みゆき著『ソロモンの偽証』
ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
宮部 みゆき
新潮社
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宮部さんの現代ものはほとんど読んでいますが『模倣犯』は
一時期読書から離れていた時期に出版されていたこと、
そしてそのボリュームに圧倒されたこともあり、
未だに手が出ません(=_=;
著者久しぶりの現代物の本作品は三部作の長編。
正直勇気が要ったのですが思い切って読んでみました。

1990年12月24日から25日に日付が変わるころ、
城東第三中学校2年A組の柏木卓也は、
校舎の屋上から転落し全身を強く打って死亡した。
遺体は前夜のうちに降り積もった雪に埋もれており、
城東第三中学校の終業式が執り行われる25日朝8時近くに、
2年A組の野田健一によって発見された。
柏木卓也はある事件の後、不登校の状態にあったことから、
教師や多くの生徒は彼が自分の意思で飛び降りたのだと考え、
また葬儀の席で柏木卓也の父・則之もそう挨拶した。
城東第三中学校三学期の始業式の朝、
2年A組・藤野涼子に匿名の手紙が届く。
涼子は既に登校していたが、表書きの筆跡の異様さから
在宅していた父で警視庁捜査一課刑事の剛は
涼子との衝突を覚悟の上で封を切り、
その足で城東第三中学校の津崎校長を訪ね、
校長の机の上にも同じ手紙が届いていることを知る。
柏木卓也がある人物に突き落とされたところを目撃したという、
告発状だった。


告発状を巡る2年A組担任教師の森内恵美子の一件に、
大出家の不審火。
父への怒りと苛立ちと憤りが膨らんだ野田健一。
これらが第一部であっさり明かされてしまう。
第二部で描かれるのは柏木卓也の死よりもその波紋であり、
大波に飲み込まれ翻弄される中学生や教師。
そして被害妄想に思えた思いがそうではなかったことが、
第三部で法廷で明かされていく。

・・・ネタバレなしで書くのは難しいけれど。

告発状とマスコミ報道がなければ、
柏木卓也という少年の死は父の言葉どおりに終わっていた。
でもそうはならなかった。
新たな死者が生まれ、別の被害者と加害者が出てしまった。
藤野涼子と神原和彦、野田健一がメインではあるけれど、
第三部『法廷』表紙裏の相関図には48人もの名前が登場する。
そして彼らの心の動きは丁寧に描写され、
また彼ら自身の一人称で語られていく。
これは少年の死の謎を追うミステリーというよりは、
報道の暴力やバブルの時代に翻弄されながらも、
少年の死という事実に向き合う人々の物語。

木槌に理髪店の黒マントと形から入る判事の姿は、
如何にも中学生で滑稽でしかないけれど、
笑ってはいられない事実が次々に明かされていく。
不良の大出俊次は父のDVの被害者だった。
いつも大出と一緒だった織田と井口との関係。
教師にもそれぞれの思惑がありスタンスがある。
陪審員の関係も裁判の進行と共に変わっていく。
そして・・・。

宮部作品には時々モンスターが登場します。
凡人の理解を超えた思考の持ち主が。
もし最後の反対尋問が野田の言うとおりだったとしたら、
身近な人の死を見たいという希望が叶ったのだとしたら、
・・・それで彼は満足したのかしら。
いつの日か彼は本物の法廷に立つことになったのではないかしら。
被告として。

ところで"悪いことはしていません"の主語は神原だけでしょうか。
神原と三宅の間で確かに気持ちが通ったとはいえ、
それでも再主尋問はただの弁明で保身で、
涼子への敵対心ではないかと思えてならなかった。
・・・何せそれまでがそれまでだし。
浅井松子の死は純然たる(?)交通事故でしょうけれど。

野田健一が高校入学と同時に父の転勤で城東区を離れた。
エピローグでちょっとホッとしました。

「柏木君のこと、あたしにはわからないの。
だから何をどう思うこともできない。」
「俺はあの子のことも心配なんだよ。
あの子がなぜこの裁判に関わったのか、
何であんなに打ち込むのか、理由がわからないから。」
「あの裁判が終わってから、僕ら

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202.217.72.80 めちゃタイムリーなお話です。

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49.129.4.225はぁ??終わったぁ・・・。電話ボックスのエピローグから始まって、ようやくここまで辿り着いたなぁ。本当に長かった。長かったけど、途中でそんなにダレることなく最後まで一気に読めたなぁ。宮部さん、流石だなと思うと同時に、この長ぁーい小説を読み切った達成感も感じられて、なんだかすごい満足感を味わう事が出来ました。まぁ、内容的には、そんな”満足感”を感じられるような明るいものじゃなかったんだけどね;;;
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