「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」(2005年 ドイツ)

「白バラ」の心と呼ばれ21才で処刑されたゾフィー・ショルの
真実の物語。
*ネタバレしています。
B0007RA6X2白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々OST /(輸入版)
Sophie Scholl-Die Letzten Tage
Norma 2006-04-21

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 封切直後に観るつもりでしたが諸般の事情で無期延期。
 でもどうしても諦めきれずに上映終了直前に強行したところ、
 帰りはふらついてもうどうしようかと思ったくらい・・・。
 自業自得ですけど、でも見なかったら絶対後悔しそうだったので・・・。

1943年末期のヒトラー政権下でのミュンヘン。
「白バラ」のメンバーであるゾフィーと兄ハンスは、
大学構内でビラをまいているところを見つかり、
ゲシュタポ将校に連行される。
兄妹は取り調べでも一貫して無罪であることを主張。
尋問官モーアはゾフィーを信じかけ釈放寸前になるが、
決定的な証拠が発見されてしまう。


彼らが逮捕されて5日後に処刑されるまでの映画なので
白バラやショル兄妹の知識がない人にはある意味不親切です。
自分たちに逮捕の危険が迫っていることをハンスは承知していて、
その上での大学構内でのビラまきになったこと。
このあたりの事情がわからないと
ただの無鉄砲な行動に見えてしまうかもしれません。

冷静さを装い否認しながら必死で手の震えを隠すゾフィ。
モーアが釈放になるだろうと言った時に思わずこぼれた笑み。
釈放寸前に自宅の捜索で見つかった証拠に、
罪は逃れられならと悟った誇りに思っているわのひと言から
ゾフィー・ショルと取調官ロベルト・モーアの対決が始まります。
クレジットはゾフィ役のユリア・イェンチ、
モーア役のアレクサンダー・ヘルトの順。
ふたりの対決がこの映画の大きな柱。
全ては兄と自分がやったことと罪を被ろうとするゾフィ。
礼儀とモラルと神・・・モーアの尋問が彼女への畏怖に変わっていく。
ゾフィと同年代の息子を持つ彼が彼女の精神性に感銘を受けて
戦時下で本物のコーヒーを振舞いながら
仲間の情報提供と引き換えに用意した逃げ道・・・。
(このコーヒーのエピソードは獄中で彼女と同室だった
エルゼ・ゲーブルの証言にもありました。)
信念と良心と仲間を裏切ることになると
申し出を拒絶するゾフィに説得ではなく懇願する(!)モーア。

「白バラ」が反ナチ抵抗運動なのは言うまでもありませんが、
兄妹では考え方の土台が違っていました。
ハンスが思想的に政治的にというのに対して
ゾフィはキリスト教徒として・・・。
裁判の傍聴席を埋めるナチ党員や親ナチスの人々。
彼らがハンスやクリストフ・プロープストの言葉を嘲笑さえする中で
ゾフィーの言葉には俯き沈黙する。
あの民族裁判所長官フライスラーさえ一瞬言葉に詰まっている。

両親との人生最後の短い面会を終えて涙を浮かべたゾフィは
目の前に現れたモーアに涙の意味を説明する。
死を宣告されたためではないと。
頷くだけのモーアの表情。
裁判の前日にビスケットやタバコなどを差し入れし、
エルゼにゾフィーの様子を尋ねていたモーアには
予想できた判決だったでしょうけれど・・・。
ゾフィとクリストフ・プロープストと兄との抱擁・・・
永遠の中での再会を約束して。

「白バラ」の尋問記録はソ連にベルリンが制圧された時に
全てモスクワに運ばれ後に東ドイツ当局に渡ったそうです。
ただ自由を叫ぶゾフィの言葉は
当然ながら社会主義体制下の東ドイツには相応しくないと
表に出ることはなかったそうです。
ベルリンの壁崩壊以降の社会混乱の中で
この映画のスタッフが発見したゲシュタポの尋問記録を元に
書かれたシナリオだそうです。

運命の1943年2月18日、
ミュンヘン大学構内の吹き抜けから差し込む明かり。
鉄格子越しのあるときは暗く、ある時は眩しい日差し。
連合国側の空襲の光さえかすかな希望になる。
そして裁判所の天井から降り注ぐ陽の光。
最期に見た太陽・・・そしてラストの闇。

親友とラジオに合わせて歌っていた時の笑顔。
恐怖の中でトイレでひとり泣く姿。
ゲシュタポに対して良心を説く正義を突き通す強さ。
その瞬間を迎える前の穏やかさと凛々しさ。
「白バラ」の心と言われた21才・・・。

私はもう一度、すっかり同じことをやるでしょう。
考え方のまちがっているのは私ではなく、
あなたがたの方なのですから。

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