「そして父になる」

病院からの電話。
凧揚げとミッション。
そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)
是枝 裕和 佐野 晶
宝島社
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是枝裕和監督作品初遭遇です。
9/24(火)〜09/27(金)までの先行上映は
本上映と何処が違うのでしょう?と思っていたのですが、
第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門での上映日の
俳優陣と監督の密着ショートムービーが特典だったようです。
 ・・・ワイドショーでのダイジェスト映像でしたが。
9月24日ユナイテッド・シネマ札幌7番スクリーンにて。

大手建設会社に勤める野々宮良多は
都心の高層マンションに妻・みどり、息子・慶多と暮らしている。
11月のある日、野々宮夫妻はみどりが出産した病院から
慶多が取り違えられた他人の子の可能性があると知らされる。
遺伝子結果の結果、慶多と親子関係が無いと判定されたふたりは、
相手方である斉木雄大とゆかり夫妻と引き合わされ、
ふたりの本当の子・琉晴の写真を見せられる。
過去の取り違い事件のケースでは100%血の繋がりをとる、
出来れば小学校入学前がと病院側は言う。
良多とみどりは前橋で電気店を営む斉木家と交流を始めるが、
良多は何かと言うと慰謝料を口にする斉木夫妻に嫌悪感を覚える。
何度か病院側と両家で顔を合わせた後の週末、
野々宮家に琉晴が、斉木家に慶多が泊まることになるが、
取り違いに気付かなかった自分を責めるみどりは
大人しい慶多と全く違う違う琉晴に戸惑いを隠さない。
そして両家は決断を迫られるが・・・。


カンヌのスタンディングオベーションのシーンからの
映画本編のオープニングスタート。
これで感動し損なったら悲惨よね・・・と思っていたのですが、
すっかり物語に引き込まれてしまいました。
笑った、寝返りをうった、立った、喋った、歩いた・・・。
文字通り成長を見守ってきた6年間・・・。
"実は他人の子"と言われて"はい、そうですか"と割り切れないのは
子どもがいない私ですらよく判る。

それはそれとして野々宮家の包丁は切れ味が悪そう。

琉晴が我が子でないことに面食らい、
逆恨みの側杖を食ったことに衝撃を受け、
それでも斉木夫妻は覚悟を決めており、腹も座っている。
取り違えの犯人が裁かれないことに語気を荒げるみどりは
一方でそれに気付かなかった自分を責め、
周囲の声や目を気にするばかり。
良多は"血の繋がり"を連呼する外野の声に飲み込まれていく。

肝心の子どもたちはと言えば
今までの家族が家族ではないと言われる。
住み慣れた町からも家からも離れ、苗字も学校も変わる。
いくら子どもに適応力があると言っても、
6歳には6歳なりの歴史があり社会がある。
琉晴が"どうして?"を連発するのは当たり前。

しかし良多もまた"ひとりの子"として母との"血の繋がり"に拘った。
"僕のお母さんだから"と良多を睨みつけた少年は、
6年前、事件のきっかけになった子だった。
義理の母の子への想い・・・キャンプごっこでの一言・・・カメラ。

母と呼べなかった人と向き合う時。
幼い息子の父への想いに気付いた時。

メインキャストの4人はもちろんのこと、
ふたりの子役も素晴らしかった。
彼らの心情に的を絞った脚本、音楽の使い方も巧いと思います。
脇を固める俳優陣もまた豪華。

このタイトルいいわぁ。

「でもな、6年間は、6年間はパパだったんだよ。
出来損ないだけどパパだったんだよ。」
「もう、もうミッションなんか終わりだ!」
「お帰り。」
そして父になる オリジナル・サウンドトラックそして父になる オリジナル・サウンドトラック
サントラ
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ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)
奥野 修司
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コメント

ご無沙汰しています。
なかなかお邪魔できなくて、失礼してました。
もう絶対わたしには同じことは起こり得ないわけですが、
万一、同じことが起こっていたらどうだったのだろうと考えてしまいました。
>それはそれとして野々宮家の包丁は切れ味が悪そう。
確かに!
葱くらい、スパっと切れてほしいよな、とわたしも思いました。

悠雅さんへ、
こちらこそご無沙汰しておりますm(_ _)m
もし自分に同じことが起こっていたら・・・と考えてしまいますね。
野々宮夫妻、斉木夫妻、そしてふたりの子どもたち、
彼らの心の内が本当に丁寧に描かれていて、
それぞれの気持ちを想像し、また重ね合わせてしまいました。
>>それはそれとして野々宮家の包丁は切れ味が悪そう。
>葱くらい、スパっと切れてほしいよな、とわたしも思いました。
うどんが硬いの柔らかいのという以前の段階(苦笑)。
あれだけごしごししていたら肩も凝るでしょうに・・・ねぇ。

この映画、一見ヒューマンな作品に見えながら、
実は、一筋縄ではいかない映画だと思います。
良多のとった衝撃的な態度。
彼は果たして父の一方的な言葉に
ほんとうに心許したのだろうか?
ふたりの今後がぼくを不安に陥れます。

えいさんへ、
>彼は果たして父の一方的な言葉に
ほんとうに心許したのだろうか?
これ、ラスト前のことでしょうか。(違っていたらごめんなさい。)
抱き締められたときに泣きじゃくったりしなかったのが
子どもらしくないといえばなかったのですが、
でも"慶多はきっと私に似たのよ"とみどりが叫ぶシーンがありましたし、
内気と言うか、感情を抑えてしまう気性なのでしょうね。
そっと写真を撮っていたのもそのあたりではないでしょうか、
取り違えの件は別にしても。
>ふたりの今後がぼくを不安に陥れます。
成長したふたりが真相を知ったとき、"彼女"を恨み憎むでしょうし、
良多のように訪ねるかもしれません。
でも野々宮家と斉木家が新しい家族のようになっていくのではないかな、
二組の両親が子どもたちを支えていくのではないかな・・・と。
限りなく希望や願望ですが。

日本インターネット映画大賞運営委員会と申します。当方では第18回日本インターネット映画大賞を開催しております。もし宜しければ概要を読んで頂きまして投票(締切1月16日)のほど宜しくお願い致します。
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