「シャドー・ダンサー」

彼女はIRAのメンバーあり母・・・そしてスパイ。
もうひとりのスパイ。
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ロンドンでテロと言えばIRAという時代がありました。
これはMI5の密告者になるしかなかったIRAの女性の物語です。
札幌では2013年4月、シアターキノで上映されていました。
DVD。

1973年、ベルファスト。
IRAの活動に携わる父親を持つコレットは
幼い弟・ショーンを銃撃で喪ってしまう。
弟はコレットの代わりに父のお遣いに出かけていた。
父は娘を詰る代わりに無言でドアを閉ざす。

1993年、ロンドン。
ロンドンの地下鉄に爆弾を仕掛けようとしていたコレットは、
かねてからマークしていたMI5に逮捕されてしまう
MI5の捜査官・デクランから幼い息子と離れて25年服役するか、
協力者としてIRAの活動家である兄のジェリーの情報を流すかという
究極の選択を迫られる。
シングルマザーの彼女は息子との生活を選び、
デクランの本名をマックだと聞き出した上で帰宅する。


サッカーのワールドカップの代表チームが"イングランド"のように、
日本人が思う"イギリス"は"イギリス"じゃないのよね。
というか"イギリス"という国は実はなくて、
正式には"グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国"
ただ"グレートブリテン"は"イングランド"、"スコットランド"に
"ウェールズ"の3つ。
そこに"および"の"北アイルランド"が加わっての
"連合王国(United Kingdom)"。
(でもイングランド人はアングロサクソン民族に対し、
他の三国はケルト民族。
本当に歴史は難しいです・・・というか不勉強で判りません。)
大体アイルランド島の北部がイギリスであることも、
部外者には摩訶不思議。
「リヴィエラを撃て」である程度の事情(背景)を知りましたが、
宗教や経済格差だけではなく色々な要素が絡まってのことでしょうし。
(私はMI5とMI6(SIS)の違いを「リヴィエラを撃て」で知りました。
ちなみに「007」も「裏切りのサーカス」もMI6。)

この映画のプロローグの1973年は
U2の名曲「ブラディ・サンデイ」の"血の日曜日事件"の1年後。
この事件以降、プロテスタント系の連合王国派(本国側)と
カトリック系の民族主義者(IRAなど)との対立が激化、
争いが泥沼化していくのは知ってはいましたが、
子どもまで標的にするほどとは・・・。
胸を撃たれているので流れ弾というよりは、
IRAの活動家であるコレットの父へのというよりは
IRAへの見せしめだったと思うのですが、
とにかくコレットは家の中にいて無事、
そして弟は亡くなった。
父の無言の視線・・・少女の負った傷の深さが見える。
もちろんそれが娘であっても両親の嘆きや怒りは同じはずですが、
でもこの一件がコレットという女性の人物像を形作っていて、
またこの映画のキーポイントなんですよね
弟を殺されたから家族から離れてIRAに入ったのではなく、
もう否応なく・・・。

コレットが情報提供者になったのは
息子と一緒に暮らしていくためで、
決してMI5に取り込まれたわけではない。
マックはそのあたりがわからなかった。
そしてMI5内部の思惑で自分が外されたことに気付いた彼は、
焦りから立ち位置を見失った。

もうひとりの正体にあまり意外性はなかったのは
これが小説ではなく映像だからかもしれません。
でも末路は悲し過ぎるしやり切れない。
だからこそのラストなのでしょうね。
コレットのケジメ。
彼女はこれからも生きていくのだから。

「お前を守るために彼女を雇った。」
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