「小さいおうち」

赤い屋根のおうち。
一本独鈷の帯。
託された手紙。
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松竹
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何故か山田洋次の作品は今まで観たことがありません。
第143回直木三十五賞受賞の原作も未読なのですが、
"ミステリアスな物語"とかいう言葉に惹かれて見てみました。
ユナイテッド・シネマ札幌にて。

ひとり暮らしの布宮タキが亡くなった。
父、姉と遺品整理をしていた健史は、自分宛てのノートを見つける。
健史にとって大叔母のタキが若き日の思い出を書き綴ったものだった。
昭和10年、尋常小学校を卒業したタキは
親類の伝手で山形から上京、小説家の家で女中になる。
約1年後、タキは東京郊外の平井家で働くことになる。
モダンな赤い三角屋根の家で玩具会社の重役の平井雅樹と妻の時子、
ひとり息子の恭一に仕える暮らしが始まった。
ある日、恭一が小児麻痺で足が不自由になるが、
タキの懸命な介抱とマッサージにより恭一は回復する。
南京陥落の翌年の正月、雅樹の部下でデザイン部の社員・板倉正治が
平井家に年始の挨拶に訪れる。


"ミステリアス"というよりはヒューマンドラマでした。
昭和初期から戦況が悪化していく中での庶民の生活と
平井家の大事件を丹念に描く昭和パート。
子どもを良い学校に入れようとしていた東京の中流(?中の上?)家庭。
南京陥落を祝う街の賑わい、高揚感。
コンサートに出かけたり、資生堂でお茶を飲んでいたり。
食べ物が配給制になってももぐりでトンカツを食べたりしていた。
平成パートの健史の歴史観は私たちが受けた戦後教育のそれ。
頭ごなしに健史に否定されてちょっとムキになるタキとのやり取りは
ユーモラスではあるけれど映画のアクセントにはなり切れない。
あまりに淡々と進んでいくので・・・DVDなら眠ってしまうかも(-。-;

健気で可愛らしく献身的なタキが小中先生の足を踏む場面は
思わずハッとしてしまう色気があって。
黒木華は本田ジェーン(「リーハイ2」)より数倍良かったです。
ただラストは旦那様と奥様と恭一坊ちゃんの幸せを願ってきた
このタキちゃんならそうするだろうなぁと思っていたので、
意外性もなく。

それはそうと出演陣がとにかく豪華。
小林稔侍や吉行和子はあれだけ?という感じですし、
米倉斉加年の登場にはもう驚くより先に感動してしまって。

ところで中嶋朋子が演じた松岡睦子(?)は
多分この時代の最先端の女性だと思います。
随分とタキに信頼されていたようですが、
突然登場したわりには出番はこのシーンのみで存在感は薄い。
原作では彼女のポジションや時子、タキとの関係は
違うのではないかと。
原作は未読なので存じません。
でも何だか消化不良です・・・原作を読んでみたい。

「あの時の日本は、不本意な選択をせざるを得なかった。
いや、望んでそのような選択をするような者もいた。
不本意だということにも気づかなかったんだ」
「もし会えたら言ってあげたかったなあ。
そんなに苦しまなくたっていいんだよ。
君の小さな罪はもうとっくに許されているんだからね。」

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2014年3月17日、原作読了しました。⇒『小さいおうち』

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