「声をかくす人」

1865年。
大統領暗殺さる。
声をかくす人 [DVD]声をかくす人 [DVD]
ジェームズ・マカヴォイ ロビン・ライト
アミューズソフトエンタテインメント
by G-Tools

原題は「Conspirator」(カタカナだと「コンスピューレター」?)。
「共謀者」とか「陰謀者」あたりの意味が何故・・・?
札幌では公開されていたのかしら・・・。
DVDにて。

1865年のワシントンD.C。
アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが暗殺される。
主犯のウィルクス・ブースは逃走中に射殺、
他の犯行グループも身柄を拘束されるが、
そこに下宿屋を営む南部出身のメアリー・サラットがいた。
罪状は犯行グループへのアジト提供であったが、
サラットは「私は無実です」と主張するもそれ以外のことは何も語ろうとしない。
北軍に従軍した弁護士フレデリック・エイキンは、
元司法長官のリヴァディ・ジョンソン上院議員の度重なる要請に
渋々サラットの弁護を引き受けることになる。
民間人のサラットを軍法会議で裁く陸軍長官のやり方に疑問を抱き、
エイキンは独自に調査を進めていく中で実際に彼女は無実で、
秘密を守るために命を自分の命を捧げようとしているのではと考える。


エイブラハム・リンカーンは「奴隷解放の父」、
「人民の人民による人民のための政治」、
そして暗殺されたことくらいの知識しかなかったもので、
今まで暗殺犯のその後など考えもしませんでした。

話が話なので全体に画面の彩度が低いというか明度が低いというか。
そして音楽も控えめで重たい印象。
サラットを始め拘留されている人たちの環境の悪さに目がいきましたが、
そもそも人権という考え方がない時代だったということなのでしょう。

「誰にでも弁護を受ける権利がある」という建前の前に
嫌々引き受けただけの弁護。
大統領暗殺に直接関わったわけではない、ただ宿を貸しただけで、
一介の民間人が極刑を受けることへの不平等性を強く感るエイキン。
裁判官はリンカーンの棺を担いだ人物であり、
検察官はすべて北軍の軍人の軍事裁判で
正義を貫こうとエイキンは弁護活動にのめり込んでいく。
サラットのために弁護を尽くすほど周囲から疎まれていく。
クラブでは資格を剥奪され恋人のサラも彼の元を離れていく。

南北戦争が終結したばかりで国全体が不安定な中で、
大統領暗殺の悲劇を政治的に利用しようという思惑での軍事法廷。
評決は全員一致ではなかったけれど、
でも結論は最初から出ているようなものだった。
公開処刑もその撮影もそういう思惑の上だったのでしょう。
メアリー・サラットはスケープゴートになった。

彼女が隠くしたかったこと、守りたかったものは容易に想像がつく。
ただ私はラストでエイキンに向けられた一言よりも
時代や陰謀に飲み込まれてしまった正義の方がやるせなかった。
法曹界を去ったフレデリック・エイキンは、
ワシントン・ポスト紙の初代社会部部長となっている。
彼が正義を貫くにはそれしかなかったのかもしれない。

ところで観終えてから知ったのですがエイブラハム・リンカーン。
奴隷解放の父の"人民"には「インディアン」は含まれていなかったようですね。
ボスニア内戦時の民族浄化顔負けの行為を知ってショックでした。
・・・人類がちっとも進化していない裏返しかもしれませんが。

「市民を軍法会議にかけるのは酷すぎる。」
「この裁判では何でも可能です。」
The Conspirator/声をかくす人[Region2][UK-PAL[Import]The Conspirator/声をかくす人[Region2][UK-PAL[Import]
James McAvoy Robin Wright
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