【きらめく星座】

人間は奇跡そのもの。
きらめく星座 昭和オデオン堂物語 (集英社文庫)きらめく星座 昭和オデオン堂物語 (集英社文庫)
井上ひさし
集英社
by G-Tools

2014年10月に東京で上演された舞台。
2015年12月15日(木)大みそかの「Eテレシアター」にて。

1940(昭和15)年の浅草の小さなレコード店・オデオン堂。
11月3日、四人の家族と二人の間借人が暮らすこの家に
憲兵伍長・権藤三郎が乗り込んでくる。
一家の長男で陸軍に入隊していた小笠原正一が脱走したというのだ。
「敵前逃亡」は重罰。
非国民の家となったオデオン堂のために、
主人・小笠原信吉の妻・ふじは正一の妹のみさが傷痍軍人と結婚することで、
家を『美談の家』にしようと言い出す。
みさをがハガキの束から選んだのは高杉源次郎。
右手の先を失った源次郎はガチガチの軍人だった。


舞台は中央にちゃぶ台がある畳の居間。
昔ながらの日本家屋・・・昭和15年だからね。

井上ひさし作品に初遭遇。
キャストも顔と名前が一致するのは山西惇と木場勝己だけで、
他の方は全く存じ上げなかった有様。
大晦日のせわしない中でのテレビ桟敷で集中力が削がれるためか、
正直、前半はどう観ていいのか、
大体どなたが主役なのかすら判らず、
何?"ショウイグンジン"??
ただそのショウイグンジン傷痍軍人・高杉源次郎と、
オデオン堂の面々とのギクシャク加減が可笑しくて。

まあ、源次郎を笑える私たちは幸せだということなのだけれど。

この時代の音楽・・・流行歌には私は馴染みがなく逆に新鮮。
ふじは以前、松竹少女歌劇団に所属、歌手を経験した後に
信吉の後妻に・・・道理で夫婦の年齢が離れているわけで。

そして脱走兵の正一が日本と中国を行き来していることに驚きながらも
この脱走兵。
毎回、生業が違い、ファッションも違い。
憲兵隊も張り付いているわけではないのか、何度も登場。
彼の存在がアクセントになっていました。
途中からは手を止めて観てしまい、何度も笑っていたのですが、
ただ楽しい、明るいだけではない。
舞台の奥の二階に通じる階段の暗さ。
上手(観客席から見て右)にある出入り口の向こう側の暗さ。
そして会話に差し込まれてくる当時の状況。

得体の知れないものが迫ってくる。

船で中国と行き来する中で、正一が見てしまったこと。
片腕を失い、傷痍軍人となっても国を信じ、
国に尽くそうとする源次郎が電車で聞いた会話。
「教えてください。帝国の同義。ありやなしや。」

悲しかった。
痛々しかった。

そして未来に絶望するみさをも。
そんなみさをに掛けた広告文案家・竹田の言葉。

もう一度聞きたいと思う。
竹田の言葉を。
もう一度感じたいと思う。
その重みを。

「人間は奇跡そのもの。
人間の一挙手一投足も奇跡そのもの。
だから人間は生きなければなりません。」
きらめく星座ー昭和オデオン堂物語ー [DVD]きらめく星座ー昭和オデオン堂物語ー [DVD]
犬塚弘 夏木マリ 橋本功
(株)カズモ
by G-Tools

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : きらめく星座 Eテレシアター 井上ひさし 山西惇 木場勝己

コメント

Secret

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

フリーエリア